Aちゃん(2歳、男児)は両親、兄(5歳)の4人家族である。3日前から発熱が続くため、母親と一緒に外来を受診した。診察の結果、川崎病と診断され、個室に入院となり左手背に点滴静脈内留置針が挿入された。入院中は母親が希望し、Aちゃんに付き添っている。Aちゃんにγ-グロブリン療法とアスピリンの内服が開始されることになった。看護師がγ-グロブリン療法の開始のために訪室すると、Aちゃんは不機嫌にぐずって泣いている。 γ-グロブリン療法の開始に伴う看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
γ-グロブリン製剤は、血液製剤の一種であり、アナフィラキシーなどの重篤な副作用や心臓への負担、腎機能障害を引き起こす可能性があります。そのため、投与中は循環動態のモニタリングや点滴部位の観察など、患者の状態を注意深く監視し、異常の早期発見と対応が不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. γ-グロブリン製剤の点滴中は、アナフィラキシーショックなどの重篤な副作用が発生するリスクがあるため、患者から目を離さず、すぐに異変に対応できる体制が必要です。売店への移動は安全確保の観点から不適切です。正しくは:γ-グロブリン製剤の点滴中は、患者から目を離さず、ベッドサイドで安静に過ごしてもらうよう説明する。選びやすい理由:子ども患者の場合、気分転換の必要性を考慮したくなるかもしれませんが、安全が最優先です。混同注意:一般的な点滴と、重篤な副作用リスクのある薬剤の点滴の管理の違い。
- 2. 抑制具の使用は、患者の人権や身体拘束の問題に関わるため、安易に行うべきではありません。点滴ルートの自己抜去は、保護者の協力や声かけ、ルートの固定方法の工夫など、他の方法で防ぐことを優先します。正しくは:点滴ルートの自己抜去を防ぐため、保護者に協力を求めたり、点滴ルートの固定方法を工夫する。選びやすい理由:特に小児患者の場合、自己抜去のリスクが高いため、抑制具を検討しがちです。混同注意:安全確保のための処置と、身体抑制の適応の判断。
- 3. γ-グロブリン製剤の投与は、体液量増加による心臓への負担のリスクがあるため、心機能に応じた適切な水分管理が必要です。しかし、一律に「厳しく制限する」のではなく、患者の状態に応じて医師の指示に基づき管理します。脱水状態は腎機能障害のリスクを高める可能性もあります。正しくは:心臓への負担や腎機能障害のリスクを考慮し、医師の指示に基づき、患者の水分摂取量を適切に管理する。選びやすい理由:心臓への負担を軽減するという目的自体は正しいですが、「厳しく制限する」という点が誤りです。混同注意:輸液過負荷の予防と、水分摂取の絶対的制限の区別。
- 4. 正解。γ-グロブリン製剤の急速投与は、心臓への負担(心不全の誘発など)やアナフィラキシーショックにより心機能に影響を及ぼす可能性があるため、心電図モニターで心拍数や不整脈の有無を継続的に観察し、異常の早期発見に努めることは重要です。選びやすい理由:重篤な副作用への警戒心が働くため、この選択肢を選びやすいです。
- 5. 正解。点滴針の挿入部位では、血管外漏出、腫脹、発赤、疼痛、感染、静脈炎などの合併症が生じる可能性があります。これらを早期に発見し、適切に対処するためには、挿入部位の丁寧な観察が不可欠です。選びやすい理由:点滴管理の基本として、これは当然行うべきと判断しやすいです。
国試ポイント
γ-グロブリン製剤投与時の看護のポイントは、副作用(アナフィラキシー、心負荷、腎障害)への注意と観察、および点滴管理の基本です。
混同注意
γ-グロブリン製剤の副作用と、輸液過負荷や一般的なアレルギー反応との区別。γ-グロブリンは血液製剤であるため、輸血製剤と同様の慎重な管理が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回、γ-グロブリン製剤に関する問題が出た場合は、投与中の患者の全身状態の観察項目(バイタルサイン、皮膚症状、呼吸状態、尿量)と、点滴管理の基本(ルート、点滴部位)に注目して判断します。
関連知識
輸血副作用(溶血性、非溶血性発熱性、アレルギー性、アナフィラキシー、循環負荷)、輸血前後のバイタルサイン測定、点滴速度の管理、ショック時の対応(エピネフリン投与など)。