Aさん(81歳、女性)は夫(86歳)と2人で暮らしている。高血圧症で内服治療をしているが、血圧のコントロールはできている。両眼に老人性白内障があり、老人性難聴のために補聴器を使用している。認知機能は問題なく、日常生活動作〈ADL〉はほぼ自立している。1年前から両眼の羞明、霧視が強くなり、視力が低下して趣味の編み物ができなくなってきた。また、家の中を移動するときに小さな段差につまずいたりドアにぶつかるなど、歩行時の転倒の危険性が増えた。Aさんは自宅での生活を安全に送りたい、趣味を続けたいという希望があり、10日間程度の入院で両眼の超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を行うことになった。 手術後2日、Aさんは日中はベッドに横になって過ごしている時間が多い。夜間にAさんから看護師に「手術後はゆっくり眠れていません。どうしたらよいでしょうか」という訴えがあった。Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
手術後の患者は、環境の変化、痛み、不安などにより不眠を訴えることがあります。日中に活動量を増やすことで、疲労感が生まれ、夜間の睡眠導入がスムーズになる傾向があります。特に日中ベッドに横になっている時間が多い患者の場合、離床を促し活動量を増やすことは、睡眠リズムの改善に有効な看護介入となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 緑茶に含まれるカフェインには覚醒作用があり、睡眠を妨げる可能性があります。正しくは:カフェインを含まない温かい飲み物(例:ハーブティー、牛乳)を勧める。選びやすい理由:温かい飲み物はリラックス効果があるため、一見良さそうに思える。混同注意:カフェインの有無を考慮しない場合、温かい飲み物全般が良いと誤解しやすい。
- 2. 正解。日中に活動することで、夜間の入眠が促進され、睡眠の質が向上します。手術後であっても、状態が許す範囲での離床は重要です。
- 3. 眠れないのに長時間ベッドにいると、「ベッド=眠れない場所」という条件づけが起こり、不眠が悪化する可能性があります。眠れない場合は一度ベッドを出て、リラックスできる活動をすることが推奨されます。正しくは:眠れない場合は無理にベッドに留まらず、一旦ベッドから出てリラックスできる活動をしてから、再び眠気を感じたらベッドに戻るように勧める。選びやすい理由:安静を保つべきという考えから、ベッドにいることが良いと誤解しやすい。混同注意:安静臥床の指示と、睡眠衛生の区別ができていない場合、選択しやすい。
- 4. Aさん自身が「手術後はゆっくり眠れていません」と訴えているため、看護師が一方的に「よく眠れている」と判断し、訴えを否定することは不適切です。患者の訴えを傾聴し、アセスメントすることが重要です。正しくは:Aさんの訴えを傾聴し、睡眠状況を具体的にアセスメントするために、さらに情報収集を行う。選びやすい理由:客観的な観察(例:夜間に静かにしている)と患者の主観的な訴えが異なる場合に、客観的な情報だけを信じてしまう。混同注意:患者の主観的な訴えと看護師の客観的観察が異なる場合に、どちらを優先すべきか、どのように対応すべきか混乱しやすい。
国試ポイント
手術後の患者に対する不眠の看護介入として、最も適切な行動を選択できるか、特に生活習慣の調整に着目した介入が問われています。患者の訴えを傾聴し、不眠の原因をアセスメントした上で、具体的な対処法を提案できる実践的な知識が求められます。
混同注意
睡眠を妨げる飲食物(カフェインなど)の知識、不眠時の適切な行動(無理にベッドに留まらない)、患者の主観的訴えへの対応といった複数の選択肢が、それぞれ正しい知識と混同しやすい形で提示されています。
次に同じ論点が出たら
同様の状況で、睡眠導入剤の使用、睡眠環境の調整、心理的サポート、痛みのコントロールなど、さらに多角的なアプローチも考慮する必要があるか。また、患者の個別性を考慮した介入が求められるか。
関連知識
睡眠衛生指導、術後合併症予防のための早期離床、患者の主観的情報と客観的情報の統合とアセスメント、カフェインの薬理作用、リラクセーション法。