Aちゃん(7歳、女児、小学1年生)は、3歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の4月から7月までの間に、急性扁桃炎を3回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。 手術後1日。Aちゃんはベッド上で、静かにぬり絵をして遊んでいたが、昼食時には黙って涙ぐみ、食事や水分も摂ろうとしない。付き添っている母親は「痛くて食べられないようです」と看護師に言った。Aちゃんのバイタルサインは、体温37.6°C、血圧100/60 mmHg。看護師がAちゃんの痛みを把握するのに最も適切な方法はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aちゃんは手術後1日の幼児であり、無言で涙を流すなど、言葉で明確に痛みを表現するのが難しい状況です。このような小児に対しては、視覚的に痛みの程度を表現できる痛みスケール(例:Wong-Baker FACES Pain Rating Scaleなど、顔の表情で痛みの度合いを示すもの)を用いることが、子ども自身が最も伝えやすい方法であり、客観的に痛みの程度を把握する上で最も適切です。表情観察や保護者からの情報も重要ですが、痛みの程度を具体的に評価するには視覚的スケールが有効です。
選択肢ごとの解説
- 1. 子どもの痛みを評価する上で、表情観察は重要な要素の一つですが、これ単独では痛みの程度を客観的・定量的に把握するには不十分です。痛みの表現は個人差が大きく、顔の表情だけでは正確な情報が得られない場合があります。正しくは:Aちゃんの顔の様子を観察し、さらに他の方法と組み合わせて痛みを評価する。選びやすい理由:子どもの痛みの表現として、表情の変化はわかりやすいため、選択肢として魅力的。混同注意:子どもの痛みの評価では、行動観察や表情観察が重要であるという知識があるため、これが正解だと思いやすい。
- 2. 母親からの情報は子どもの痛みを理解する上で非常に有用ですが、それはあくまで保護者の主観的な判断や観察に基づいています。子どもの痛みの程度を客観的に把握するためには、子ども自身からの表現を促す方法がより適切です。正しくは:母親からの情報を参考にしつつ、子ども自身に痛みを表現させる方法を併用する。選びやすい理由:保護者の言葉は子どもの状態を知る上で非常に重要であるため、この選択肢が適切だと感じやすい。混同注意:家族の協力が小児看護では不可欠であり、家族からの情報収集は基本であるため、正解に思えることがある。
- 3. Aちゃんは手術後1日目の子どもであり、無言で涙ぐんでいる状況から、痛みの程度を言葉で明確に表現することは困難である可能性が高いです。特に幼児期の子どもは、抽象的な言葉で痛みの程度を伝えるのが難しい場合があります。正しくは:Aちゃんの年齢や発達段階を考慮し、言葉以外の方法で痛みを表現してもらう。選びやすい理由:痛みの評価では患者自身からの言葉による表現が理想的であるため、この選択肢も誤りではないように思える。混同注意:成人患者の痛みの評価では言語による訴えが最も重要であるという知識が、小児にもそのまま当てはまると誤解しやすい。
- 4. 正解。Aちゃんは幼児期の子どもであり、言葉で痛みを詳細に表現することが難しい可能性があります。このような場合、視覚的な痛みスケール(例:Wong-Baker FACES Pain Rating Scaleなどの顔の表情を用いたスケール)を使用することで、子ども自身が痛みの程度を指差して示すことができ、より客観的かつ具体的に痛みのレベルを把握することが可能になります。正しくは:(正答のため修正なし)選びやすい理由:(正答のため記述なし)混同注意:他の選択肢も一見すると適切に見えるが、小児の痛みの評価における客観性と具体性を考えると、視覚的なスケールが最も適している。
国試ポイント
小児の痛みの評価方法に関する知識が問われています。特に、発達段階に応じた適切な痛みの評価スケールの選択が重要です。小児は成人とは異なり、自身の状態を言葉で正確に表現することが困難な場合が多いため、視覚的なツールや行動観察が評価の鍵となります。
混同注意
子どもの痛みを評価する際には、表情観察、行動観察、保護者からの情報収集など、様々な側面からアプローチすることが大切です。そのため、選択肢1(表情観察)や選択肢2(母親からの情報)も一見、適切に見えます。しかし、本問では「最も適切な方法」が問われており、痛みの『程度』を客観的に把握するには、視覚的痛みスケールが有効です。選択肢3(言葉で説明)は、子どもの発達段階によっては困難な場合が多いことを理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
痛みスケールで痛みの程度を把握した後、その結果に基づいて適切な鎮痛方法やケアを検討し、介入後の痛みの再評価を行います。また、痛みの原因が変化していないか、他の症状がないかも継続的に観察します。
関連知識
小児の痛みの評価スケールには、Wong-Baker FACES Pain Rating Scale(顔の表情を用いる)、FLACC Scale(Face, Legs, Activity, Cry, Consolability - 行動を観察する)、Numeric Rating Scale(対象年齢が上がれば使用可能)など、年齢や発達段階に応じた様々な種類があります。これらのスケールの特徴と適用年齢を理解しておくことが重要です。