Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。 Aさんは、入院後10日から日中に臥床するようになった。夜間は熟睡している。食事の時間に食堂に遅れてくることが多い。看護師と会話をするようになったが、他の入院患者への被害妄想がある。この時期の看護師の対応で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Aさんは日中に臥床傾向があり、活動量の低下が懸念されます。また、他の入院患者への被害妄想があるため、単独での行動や他の患者との交流は現時点では適切ではありません。看護師が一緒に院内を散歩することは、①安全な環境下で身体活動を促し、生活リズムを整えることに繋がります。②看護師との個別的な関わりを通じて信頼関係を深め、不安の軽減に繋がる可能性もあります。③被害妄想がある中で、看護師の付き添いがあれば、他の患者との不必要なトラブルを回避しながら、社会との接点を維持することができます。
選択肢ごとの解説
- 1. Aさんは食事の時間に遅れることはありますが、食事自体を食べられない、または介助が必要な状況であるとは記載されていません。この対応は、現在の情報からは優先度が低いと考えられます。正しくは:食事摂取量や摂取状況を観察し、必要であれば介助を検討する。選びやすい理由:食事に遅れるため、介助すれば間に合うのではないかと考えるかもしれない。混同注意:「遅れてくる」と「食べられない」を混同する可能性。
- 2. 正解。日中に臥床する傾向があるAさんに対して、活動を促すことは生活リズムの調整に繋がり、精神状態の安定に寄与する可能性があります。また、看護師が付き添うことで、被害妄想を抱いている他の患者との接触を避けつつ、安全に身体活動を行うことができます。正しくは:この選択肢は適切。選びやすい理由:他の患者との交流を促すのが良いのでは、と迷うかもしれない。混同注意:身体活動の促進と精神症状のケアの関連性が理解できない可能性。
- 3. Aさんは他の入院患者に対して被害妄想を抱いているため、現時点で無理に交流を促すことは、かえってAさんの不安を増強させたり、症状を悪化させたりする可能性があります。まずは個別的な関わりを通して信頼関係を築き、症状の軽減を目指すことが重要です。正しくは:被害妄想がある間は、他の患者との交流は慎重に判断し、個別的な関わりを優先する。選びやすい理由:社会的な交流は良いことだと一般的に考えがち。混同注意:統合失調症などの精神疾患における人間関係の構築フェーズを誤解する可能性。
- 4. Aさんは日中に臥床することが増えていますが、夜間は熟睡しており、日中の活動量が低下している可能性があります。この状況で声をかけるのを控えると、孤立感を深めたり、さらに活動意欲が低下したりする恐れがあります。適度な声かけや関わりは必要です。正しくは:日中に臥床している場合でも、適切なタイミングで声かけを行い、状況を確認したり、活動を促したりする。選びやすい理由:休ませてあげたいという配慮から選んでしまうかもしれない。混同注意:安静の必要性と精神的な関わりの必要性を区別できない可能性。
国試ポイント
この問題は、精神疾患を抱える患者さんへの個別的な看護介入の優先順位と、症状を考慮した対応の適切さを問うものです。特に、被害妄想がある患者さんへの対応、活動性低下への介入、そして個別性と社会性のバランスを理解しているかが重要となります。
混同注意
被害妄想がある患者への対応は、交流を促すことと避けることのどちらが良いか迷いやすい。また、活動を促すタイミングや方法についても判断が難しい。
次に同じ論点が出たら
今後、被害妄想の程度や内容を詳しくアセスメントし、信頼関係の構築度合いに応じて、活動範囲の拡大や他者との交流の段階的な促進を検討する。
関連知識
精神疾患患者の活動性低下への介入、被害妄想患者へのコミュニケーション技法、信頼関係構築の重要性、入院環境における生活リズムの調整。