Aさん(79歳、女性)。自宅の玄関で転倒し、救急外来で第12胸椎の圧迫骨折と診断され、安静目的で入院した。既往歴:5年前に大腿骨骨折。現病歴:2年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病を発症。記憶障害があるが、失認、観念運動失行および失語はなし。生活歴:要介護1。同じ敷地内に住む長男夫婦は仕事をしている。ADLは自立。 入院後3週、Aさんはコルセットを装着し、杖を使ってゆっくり歩けるようになった。翌週には自宅へ退院することが決まった。Aさんの退院に向けて、Aさんと長男夫婦への指導内容で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Aさんはコルセットを装着し、杖を使って歩行できるようになった段階であり、退院後の生活を想定し、自宅内での日常生活動作を無理のない範囲で積極的に行うことは、身体機能の維持・向上に繋がり、退院後の自立した生活への移行を促すために重要です。活動レベルは徐々に上げていくべきですが、自宅での活動をゼロにするのではなく、できることを増やすよう促すのが適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. コルセットの着用期間や外すタイミングは医師の指示に基づいて決定されます。自己判断で外すことは、治療効果の低下や症状の悪化につながる可能性があります。特に術後間もない時期であれば、自宅でも原則として着用を継続するよう指導されます。正しくは:自宅でも医師の指示に従いコルセットを着用する。選びやすい理由:自宅での生活では動きやすさを優先したいという気持ちから、コルセットを外したいと考えるかもしれない。混同注意:安静が保たれる自宅では必要ないのでは、と誤解する可能性がある。
- 2. 正解。自宅内での日常生活動作(ADL)を徐々に再開し、自立を促すことは、退院後の生活へのスムーズな移行のために重要です。ただし、無理のない範囲で、医師や理学療法士の指示に基づいた範囲で行う必要があります。これにより、筋力の維持・向上や身体機能の回復が期待できます。正しくは:この選択肢は正しい。選びやすい理由:無理をしてはいけないという考えから、活動を控えるように指導しがちだが、適切な活動は回復を促す。混同注意:活動量が多すぎると悪化するという誤解から、過度な制限を指導してしまう可能性がある。
- 3. 入院後3週で杖歩行が始まったばかりの患者にとって、5,000歩という具体的な目標を毎日設定してウォーキングを行うのは、身体への負担が大きすぎる可能性があります。活動量は個々の回復状況に合わせて段階的に増やしていく必要があり、初期段階で具体的な歩数を指示するのは適切ではありません。正しくは:個々の状態に合わせて、無理のない範囲で段階的に活動量を増やす。選びやすい理由:ウォーキングはリハビリとして有効であるため、良いことだと考えてしまうかもしれない。混同注意:ウォーキングが健康に良いという一般的な知識と混同し、早期からの高負荷な活動を推奨してしまう可能性がある。
- 4. ビタミンB1は糖質代謝に関わる栄養素であり、神経機能の維持にも重要ですが、脊椎疾患の回復に直接的に特化した栄養指導として、他の栄養素より優先して強調されることは稀です。バランスの取れた食事指導が基本であり、特定のビタミンを強調する前に、全体的な栄養状態を評価し、必要に応じて指導を行います。正しくは:バランスの取れた食事を心がけ、全体的な栄養状態の改善を図る。選びやすい理由:栄養指導は患者の回復に重要であるため、何らかの栄養素を勧めるのは良いことだと考えてしまうかもしれない。混同注意:ビタミンB1が神経系に良いという情報から、脊椎疾患の回復に重要だと誤解する可能性がある。
国試ポイント
退院指導における日常生活動作(ADL)への関与の促進と、過度な安静や過度な運動の回避の区別。患者の回復段階に応じた適切な指導内容の理解が問われます。
混同注意
日常生活動作の重要性を理解していないと、過度な安静を推奨したり、逆に過度な運動を推奨したりする選択肢を選んでしまう可能性があります。
次に同じ論点が出たら
この患者の次の段階として、どのような活動を指導すべきか、またどのような危険因子に注意を払うべきか。
関連知識
脊椎疾患術後のリハビリテーションプログラム、日常生活動作(ADL)の評価と促進、退院指導の基本原則、段階的な運動療法の進め方。