Aさん(79歳、女性)。自宅の玄関で転倒し、救急外来で第12胸椎の圧迫骨折と診断され、安静目的で入院した。既往歴:5年前に大腿骨骨折。現病歴:2年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病を発症。記憶障害があるが、失認、観念運動失行および失語はなし。生活歴:要介護1。同じ敷地内に住む長男夫婦は仕事をしている。ADLは自立。 入院後8日、理学療法室での訓練が始まった。Aさんはこわばった表情で訓練を受けていた。Aさんは、以前は通所リハビリテーションを利用していたが、人が多い場で落ち着かなくなることがあり、入院前には小規模多機能型居宅介護事業所を利用していたことが家族からの情報で分かった。翌日、理学療法士が「理学療法室に行きましょう」と病室に迎えに来たところ、Aさんは「行きたくない」と嫌がった。このときのAさんに対する看護で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Aさんは以前から人が多い場所で落ち着かなくなる傾向があり、入院前も小規模多機能型居宅介護事業所を利用していました。理学療法室という不慣れな場所や、そこにいる他の患者の存在がAさんの不安を増強させ、リハビリテーションの拒否につながっている可能性が高いです。そのため、Aさんが慣れている病棟内でリハビリテーションを行うことを提案し、環境要因による不安を軽減することが最も適切な看護介入となります。
選択肢ごとの解説
- 1. Aさんは人が多い場で落ち着かなくなる傾向があり、理学療法室への付き添いだけでは、根本的な不安の解消にはつながりにくいと考えられます。環境への不安が続く可能性があるため、この対応だけでは不十分です。正しくは:Aさんの不安の原因をアセスメントし、個別の対応を検討する。選びやすい理由:物理的なサポートと安心感を与える行為として一見適切に見えるが、Aさんの根本的な問題(人混みでの不安)を解決しない。混同注意:付き添うことで安心感を得られる患者もいるため、一見有効な選択肢に見えるが、本症例の背景情報(人混みでの不安)を考慮すると優先度は低い。
- 2. 正解。Aさんは以前から人が多い場所で落ち着かなくなる傾向があり、理学療法室という慣れない環境や、他の患者が多くいる状況が拒否の原因である可能性が高いです。病棟内でのリハビリテーションであれば、慣れた環境で他者の視線も少なく、Aさんの不安を軽減しながら訓練を継続できるため、最も適切な対応と考えられます。正しくは:この選択肢は適切です。選びやすい理由:最もAさんの心理状態と既往歴(人混みで落ち着かなくなる)に配慮した解決策であり、訓練の継続性も保たれるため、適切であると判断しやすい。混同注意:他の選択肢も一見患者のためになるように見えるが、Aさんの具体的な特性(人混みでの不安)に焦点を当てるとこの選択肢が最も合致する。
- 3. Aさんがリハビリテーションを拒否しているのは、再転倒の予防の必要性を理解していないからではなく、人が多い場所への不安が原因である可能性が高いです。必要性を説明するだけでは、Aさんの心理的な障壁を取り除くことにはなりません。正しくは:Aさんの不安の原因に焦点を当て、その解決策を検討する。選びやすい理由:リハビリテーションの目的を伝えることは重要だが、この状況ではAさんの感情的な拒否反応の根本原因にアプローチできていない。混同注意:患者教育は看護の重要な役割だが、今回の拒否の原因が理解不足ではないため、この対応では問題解決につながらない。
- 4. Aさんは現在入院中であり、リハビリテーションの拒否は退院後の生活や介護サービスとは直接関係ありません。入院中のリハビリテーションの継続性を確保することが優先されるべき課題であり、この時点での退院後のサービス提案は適切ではありません。正しくは:入院中のAさんのリハビリテーション継続に関する具体的な問題に対処する。選びやすい理由:入院前の利用歴があり、小規模サービスが良いという情報から、一見Aさんの好みと関連があるように見えるが、入院中のリハビリ拒否の直接的な解決策ではない。混同注意:患者の過去の利用歴は重要な情報だが、現在の入院中の問題解決に直接繋がるわけではないため、選択肢として不適切。
国試ポイント
患者の既往歴や性格、現在の状況を総合的にアセスメントし、拒否の真の理由を把握した上で、個別の状況に合わせた介入策を選択できるかが問われています。特に、環境調整による不安軽減の視点が重要です。
混同注意
患者の不安の原因を深掘りせずに、一般的な対応(付き添い、目的説明)を選んでしまうと誤答につながる可能性があります。
次に同じ論点が出たら
病棟でのリハビリテーション実施後も拒否が続く場合は、さらにAさんの精神状態や認知機能、身体的苦痛など、多角的にアセスメントを進める必要がある。
関連知識
高齢者の心理的特徴、環境調整、リハビリテーション拒否時の対応、個別性のある看護計画立案。