Aさん(38歳、会社員、女性)は夫と2人暮らし。通勤中に突然の頭痛を訴えて倒れ、救急搬送された。入院後に行った頭部CT検査および頭部MRI検査で、脳腫瘍と診断された。Aさんは脳腫瘍摘出のために開頭術を受けた。 放射線療法と化学療法が開始されて10日が経過した。Aさんはガーデニングの趣味があり、庭が気になるため週末の外泊を希望し、主治医から許可が出た。外泊にあたりAさんへの説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
放射線療法や化学療法中は、骨髄抑制により免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。また、治療薬は体液中に排泄されることがあります。 選択肢3:ガーデニングは土に触れる作業であり、土壌中の細菌や真菌による感染リスクがあるため、手袋の着用は感染予防に必須です。 選択肢5:化学療法薬は精液や膣分泌液などの体液中に排泄される可能性があるため、パートナーへの曝露を避ける目的でコンドームを使用することが推奨されます。また、患者自身の粘膜が弱くなっていることも考慮し、感染予防の観点からも重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 放射線療法や化学療法を受けている患者でも、通常、清潔保持のため入浴は許可されます。ただし、治療部位や皮膚の状態によってはシャワー浴が推奨される場合や、長時間の入浴を控えるよう指示されることもありますが、一律に入浴を控える必要はありません。正しくは:「体調が良ければ入浴は可能です。ただし、治療部位の皮膚の状態には注意し、刺激の少ない石鹸を使用してください」選びやすい理由:免疫抑制状態での感染リスクを考慮し、一見控えるべきかと考えがちですが、清潔保持は感染予防の基本です。混同注意:治療内容によっては、特定の部位への刺激を避けるために入浴制限がある場合もありますが、一般的には清潔保持を優先します。
- 2. 化学療法中や放射線療法中には、骨髄抑制による免疫力低下や消化器症状(吐き気、下痢、口内炎など)が現れることがあります。そのため、生ものや加熱が不十分な食品は感染リスクを高めるため避けるべきであり、食事内容に注意が必要です。正しくは:「免疫力が低下している可能性があるため、生ものや十分に加熱されていない食品は避けてください」選びやすい理由:食欲不振の患者に対しては、食べられるものを優先させることがありますが、感染リスクの高い食品は避けるべきです。混同注意:一般的な食事と、免疫抑制状態での食事管理の区別が曖昧になりやすいです。
- 3. 正解。化学療法により骨髄抑制が起こり、白血球減少による免疫力低下が見られることがあります。ガーデニングは土に触れる作業であり、土壌中の微生物や傷からの感染リスクが高まるため、手袋の着用は感染予防に非常に有効です。選びやすい理由:ガーデニングが趣味で気分転換になるため、制限したくないという気持ちになるかもしれませんが、感染予防は重要です。混同注意:気分転換の重要性と感染予防のバランスをどう取るべきか迷うことがあります。
- 4. 放射線療法や化学療法中は免疫力が低下しており、発熱を伴わない咳であっても、肺炎などの感染症の初期症状である可能性があります。早期発見・早期対応が重要であるため、自己判断で経過観察とせず、医療機関に相談するべきです。正しくは:「咳が出る場合は、発熱がなくても医療機関にご連絡ください」選びやすい理由:「発熱を伴わない」という条件があるため、軽視してしまいがちですが、免疫抑制状態では症状が典型的でない場合もあります。混同注意:一般的な風邪の症状と、免疫抑制状態での感染症のサインの区別がつきにくいです。
- 5. 正解。化学療法薬は体液(汗、唾液、精液、膣分泌液など)中に排泄されることがあります。また、治療による骨髄抑制で粘膜が弱くなっている場合もあり、性交渉によって相手に薬剤の影響を与えたり、感染リスクを高めたりする可能性があります。コンドームの使用は、薬剤曝露と感染予防の両面で重要です。選びやすい理由:性交渉に関する話題はデリケートであるため、説明を躊躇してしまうかもしれませんが、重要な指導事項です。混同注意:薬剤の体液排泄に関する知識が不足していると、コンドーム使用の必要性が理解しにくいです。
国試ポイント
化学療法・放射線療法中の患者のセルフケア指導に関する知識が問われています。特に、骨髄抑制による感染リスク管理、薬剤の排泄と安全性、生活上の注意点がポイントとなります。
混同注意
免疫抑制状態における「清潔保持」と「感染予防のための制限」のバランス、また、典型的な症状の有無に関わらず、わずかな体調変化も報告する重要性を理解しているかが重要です。
次に同じ論点が出たら
外泊中に体調不良があった場合の連絡先や、具体的な症状出現時の対応について確認する必要があります。また、食事の具体的な注意点(避けるべき食品のリストなど)を提示し、再度確認することも重要です。
関連知識
化学療法の副作用(骨髄抑制、消化器症状、脱毛など)、放射線療法の副作用(皮膚炎、倦怠感など)、感染予防策(手洗い、うがい、生もの回避、人混み回避)、薬剤の排泄経路と取り扱い、セクシュアリティに関するケア。