Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害と診断され、開放病棟へ入院した。入院時、身長160 cm、体重37 kgであった。 入院から1週間の期間に観察すべき項目はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
入院初期は、環境の変化や治療の影響を受けやすく、身体的な側面では体液バランスの変動(浮腫)が、精神的な側面ではストレスによる食行動の変化(過食)が現れやすい時期です。これらは患者の健康状態に直接影響を与える可能性があるため、特に注意深く観察する必要があります。一方、活動量低下は入院中全般にわたる観察項目であり、嚥下障害や振戦せん妄は特定の患者群や症状リスクがある場合に重点的に観察される項目です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。入院初期は環境変化や治療の影響で、体液バランスが崩れやすく、浮腫が出現・悪化する可能性があるため、その程度を観察することは重要です。
- 2. 正解。入院初期はストレスや環境の変化から、食行動に変化が現れることがあります。特に過食は栄養状態の悪化や合併症につながる可能性があるため、注意深い観察が必要です。
- 3. 活動量の低下は入院中を通して観察すべき重要な項目ですが、「入院初期の1週間」という限定的な期間に特に強調される項目ではありません。これは入院期間全体で継続的に評価されるべき項目です。正しくは:活動性の低下は入院生活全体で継続的に観察・評価すべき項目である。選びやすい理由:入院により活動量が低下することはよくあるため、重要だと感じやすい。混同注意:入院生活全体での観察項目と、特に初期に焦点を当てるべき項目との区別。
- 4. 嚥下障害の有無は重要な観察項目ですが、入院患者全員に『特に初期の1週間』で集中的に観察が求められるわけではありません。リスクのある患者(高齢者、脳血管疾患、神経疾患など)に対しては重点的に評価しますが、一般的には特定の症状や既往がある場合に詳しく評価されます。正しくは:嚥下障害の観察は、特定の既往やリスク因子を持つ患者に対して重点的に行われる項目である。選びやすい理由:誤嚥性肺炎などのリスクを考えると重要に思えるが、全入院患者に初期から必須ではない。混同注意:特定のリスクグループに対する観察項目と、全入院患者の一般初期観察項目の区別。
- 5. 振戦せん妄は、特にアルコール依存症患者がアルコール摂取を中断した際に発生する可能性のある重篤な状態です。これは『全入院患者』に『特に初期の1週間』で一律に観察する項目ではなく、アルコール関連の既往歴がある患者に対して重点的に観察すべき特定の病態です。正しくは:振戦せん妄は、アルコール依存症などの特定の既往がある患者に対して、離脱症状として注意深く観察すべき項目である。選びやすい理由:せん妄は高齢者にも起こりうるため、入院初期に注意すべきと思われがち。しかし『振戦せん妄』はより特異的な病態を指す。混同注意:一般的な「せん妄」と、アルコール離脱に関連する「振戦せん妄」の区別。
国試ポイント
入院初期の患者観察において、一般的な患者に共通して出現しやすい身体・精神の変化を理解しているかが問われています。特定の病態やリスク因子を持つ患者に限定される観察項目と、全ての患者に共通して重要な観察項目とを区別できるかがポイントです。
混同注意
一般的な入院生活で起こりうる問題すべてが、入院初期の『特に観察すべき』項目として混同されやすい。特に『活動量の低下』は重要ではあるが、初期に特化する項目ではない点で注意。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず『その観察項目が、入院患者全般に共通して起こりやすい現象か』、次に『その中でも特に入院初期(1週間程度)に起こりやすい、あるいは早期発見が重要なものか』という視点で判断する。
関連知識
入院ストレス反応、体液管理、栄養アセスメント、アルコール離脱症候群、嚥下機能評価、せん妄。