解離性大動脈瘤の破裂直後に出血性ショックとなった患者の症状として正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
出血性ショックが進行すると、体内の臓器や組織に十分な酸素が供給されなくなり(低酸素血症)、代謝性アシドーシスが悪化します。身体はこれを代償しようと呼吸回数を増加させますが、重度のショック状態では呼吸筋も疲弊し、最終的には呼吸機能が破綻して呼吸不全に至ります。また、肺の微小循環障害や全身性炎症反応によって急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を発症し、呼吸不全となることもあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性出血性ショックの直接的な症状ではありません。黄疸はビリルビン代謝異常(肝機能障害、溶血など)により生じます。選びやすい理由:重度の多臓器不全の末期症状として肝機能不全が生じることはありますが、破裂直後の急性期には通常見られません。混同注意:肝不全、溶血性貧血
- 2. 出血性ショックでは、体液が血管外に漏出するのではなく、血管内ボリュームが減少します。浮腫は主に心不全、腎不全、低アルブミン血症などによる血管内水分過多や細胞間液貯留で起こります。急性ショックで体液量が減少している状態とは反対の病態です。選びやすい理由:輸液過多になった場合に見られる症状ですが、ショックそれ自体の症状ではありません。混同注意:心不全、腎不全、輸液過剰
- 3. 出血性ショックでは、全身の末梢血管が収縮し、皮膚への血流が減少するため、顔面は青白くなり、冷汗を伴うことがほとんどです。紅潮は血管拡張によって起こる症状であり、出血性ショックの病態とは異なります。正しくは:「顔面蒼白」や「冷汗」が正しい症状です。選びやすい理由:敗血症性ショックの初期(ウォームショック)では顔面紅潮が見られることがありますが、これは出血性ショックとは全く異なります。混同注意:敗血症性ショック(初期)、発熱、アナフィラキシー
- 4. 正解。重度の出血性ショックでは、全身への血流が著しく低下し、組織の酸素不足と代謝性アシドーシスが進行します。このアシドーシスを代償しようと過呼吸(頻呼吸)が起こりますが、ショックが進行すると呼吸筋の疲労や中枢神経系の障害、さらに肺そのものの機能障害(ARDSなど)により、最終的に呼吸不全に陥ります。また、胸腔内への大量出血がある場合は、肺の圧迫により直接呼吸機能が低下することもあります。
国試ポイント
ショックの病態生理、特に重篤な出血性ショックにおける全身臓器への影響と、その結果として生じる具体的な症状を理解しているかが問われています。急性期の生命維持に関わる症状を正確に把握することが重要です。
混同注意
ショックの種類(出血性、心原性、敗血症性など)によって初期症状や治療が異なるため、混同しないように注意が必要です。特に、出血性ショックで末梢血管が収縮することによる「顔面蒼白」と、敗血症性ショック初期の血管拡張による「顔面紅潮」は対照的で混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず「何の原因によるショックか」(例:出血性、心原性など)を正確に把握し、そのショックの病態生理に基づいた「急性期の重要症状」を選ぶことがポイントとなります。特に、生命維持に直接関わる臓器(脳、心臓、肺、腎臓)の機能障害につながる症状に着目して判断します。
関連知識
ショックの定義と分類(循環血液量減少性ショック、心原性ショック、血液分布異常性ショック、閉塞性ショック)、ショックのステージ(代償期、進行期、不可逆期)とその症状、代謝性アシドーシスと呼吸性代償、呼吸不全への進行、多臓器不全(MODS)の概念、解離性大動脈瘤の病態と緊急性