成人のセルフケア行動に関する学習を促進するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
自己効力感は、人が特定の行動を成功させられると信じる度合いを示す心理学的な概念です。成人がセルフケア行動(例:食生活の改善、運動習慣の獲得、服薬管理など)を学習し、実践していくためには、「自分にはできる」という自己効力感を持つことが非常に重要です。自己効力感が高いほど、困難な状況に直面しても諦めずに努力を続け、目標達成に向けて積極的に行動する傾向があるため、セルフケア行動の学習を強力に促進します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。自己効力感とは、自身が特定の行動をうまく実行できるという信念や期待のことです。セルフケア行動の学習や継続において、自己効力感が高いほど、積極的に行動に取り組み、困難に直面しても諦めずに継続できるため、学習促進に繋がります。選びやすい理由:他の選択肢も医療や健康に関連する用語ですが、直接的にセルフケア行動の学習を『促進する』要因とは異なります。混同注意:他の選択肢と混同する可能性がありますが、それぞれの用語の定義とセルフケア行動学習への影響を正確に理解することが重要です。
- 2. パターナリズムは、相手の意思や自己決定権よりも、支援者がその人の利益になると判断したことを優先して介入する考え方です。これは、セルフケア行動を自ら学び、実行していく主体性を阻害する可能性があり、学習の促進には繋がりません。正しくは:パターナリズムは、セルフケアの自律性や自己決定権を尊重する姿勢とは対立する概念です。選びやすい理由:患者の健康を考えるという点では関連しますが、あくまで医療提供者側の視点であり、患者自身の学習促進には直接寄与しません。混同注意:医療の場面でよく使われる言葉ですが、セルフケア『行動の学習を促進する』という文脈には当てはまりません。
- 3. プレパレーションは、医療処置や手術などに対する不安を軽減するために、事前に情報提供や説明を行うことです。これは不安の軽減には役立ちますが、セルフケア行動そのものの学習を直接的に促進する概念ではありません。正しくは:プレパレーションは、主に精神的準備を指し、セルフケア行動の学習促進とは直接的な関係が薄いです。選びやすい理由:情報提供は学習の一部と考えられますが、プレパレーションの主な目的は不安の軽減であり、行動学習の促進そのものではありません。混同注意:患者への情報提供や説明と混同しやすいですが、その目的が異なります。
- 4. ノンコンプライアンスは、医療従事者の指示や指導に従わない状態を指します。これはセルフケア行動の学習がうまく進んでいない、あるいは拒否されている状況であり、学習を『促進する』要因とは真逆の概念です。正しくは:ノンコンプライアンスは、学習促進とは反対に、セルフケア行動の障害となる要素です。選びやすい理由:患者の行動に関連するため選択肢としてありそうに見えますが、指示に従わない状態を指すため、学習を阻害する要因です。混同注意:コンプライアンスという言葉自体は医療現場でよく使われますが、その否定形であるノンコンプライアンスは、学習促進とは異なる意味を持ちます。
国試ポイント
この問題は、セルフケア行動を支援する上で看護師が理解しておくべき心理学的・教育学的概念を問うものです。特に、自己効力感、パターナリズム、プレパレーション、ノンコンプライアンスといった用語の正確な定義と、それが患者の行動や学習に与える影響について理解しているかが試されています。看護の支援では、患者の主体性を引き出し、自ら行動できるよう促す視点が重要です。
混同注意
自己効力感と自己肯定感、また医療提供側の概念であるパターナリズムと患者側の主体性といった対比が混同しやすいポイントです。それぞれの概念が『セルフケア行動の学習促進』という文脈にどう関わるかを区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
患者がセルフケア行動の学習に意欲を示さない場合、その原因が自己効力感の低さにあると判断し、自己効力感を高めるための具体的な支援方法を検討する。
関連知識
自己効力感はアルバート・バンデューラの社会的認知理論の中核概念です。他にヘルスプロモーションの理論(オレムのセルフケア不足理論、健康信念モデル、計画的行動理論など)も関連知識として挙げられます。看護過程では、患者のセルフケア能力をアセスメントし、自己効力感を高めるための具体的な介入(成功体験の提供、モデリング、バーバル・パーサージョン、生理的状態の改善など)を計画することが求められます。