感覚性失語のある成人患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
感覚性失語の患者は、言葉を聞き取ることはできますが、その意味を理解することが困難です。そのため、コミュニケーションでは、理解を助ける工夫が重要になります。短い文節で話しかけることで、一度に処理する情報量を減らし、理解しやすくします(選択肢1)。また、身振り手振りなどの非言語的な情報を加えることで、言葉だけでは伝わりにくい内容を補完し、理解を促すことができます(選択肢2)。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。感覚性失語では、言葉の理解が困難となるため、簡潔で短い文を使用することで、理解を助けることができます。正しくは:短い文節で語りかける。選びやすい理由:一般的なコミュニケーションの基本だが、失語症においてはより強調される点。混同注意:他の選択肢が不適切な理由を考えると、これが消去法で残りやすい。
- 2. 正解。感覚性失語の患者は、言葉の意味を理解することが難しいため、視覚的な情報(身振り手振り、表情、実物など)を補助的に用いることで、コミュニケーションの助けとなります。正しくは:身振り手振りを交えながら話す。選びやすい理由:非言語的コミュニケーションは常に重要だが、失語症の特に感覚性ではその効果が高い。混同注意:身振り手振りは普遍的なコミュニケーション手段であるため、選択しやすい。
- 3. 感覚性失語の患者は、言葉の理解が困難であるため、一度に多くの話題を提供すると混乱を招き、理解をさらに妨げる可能性があります。正しくは:一度に一つの話題に絞る、または患者が興味を示す話題を限定して提供する。選びやすい理由:会話を広げようとする意図は理解できるが、失語症の状況には不適切。混同注意:健常者との会話では有効だが、理解に困難がある場合には逆効果となることを理解する。
- 4. 感覚性失語は聴覚の問題ではなく、聞いた言葉の意味を理解する脳機能の障害です。そのため、大声で話すことや耳元で話すことは、言葉の理解を促進する効果はなく、かえって患者に不快感や威圧感を与える可能性があります。聴覚障害がある場合に有効な対応です。正しくは:通常の声の大きさで、ゆっくりと明瞭に話す。選びやすい理由:聴力障害と混同しやすい。聴力に問題があるわけではない。混同注意:聴覚障害と失語症を混同して選択してしまう可能性がある。失語症は脳の言語中枢の障害であり、聴覚器の障害ではない。
- 5. open-ended question(開かれた質問)は、患者が自由に回答することを求めるため、複雑な言語構成や思考力を必要とします。感覚性失語の患者は言葉の理解だけでなく、言葉を構成して発することも困難な場合が多く、このような質問は負担が大きすぎます。はい/いいえで答えられるclosed-ended question(閉ざされた質問)の方が適切です。正しくは:closed-ended question〈閉ざされた質問〉を用いる。選びやすい理由:患者中心のケアとして開かれた質問は一般的だが、感覚性失語においては理解力・表現力の困難から不適切。混同注意:一般的な面接技術では開かれた質問が推奨されるため、つい選んでしまいがち。しかし、失語症患者の負担を考慮する必要がある。
国試ポイント
感覚性失語の患者に対するコミュニケーション方法は、国家試験で頻出する重要な知識です。特に、聴覚障害との違いを明確にし、失語症の種類(感覚性失語、運動性失語など)に応じた適切な対応を理解しておく必要があります。理解の困難さに対して、いかに情報を分かりやすく伝えるかがポイントです。
混同注意
聴覚障害者への対応(大声で話す、耳元で話すなど)と混同しやすい。また、一般的な対人コミュニケーションスキル(多くの話題提供、開かれた質問など)が失語症患者には逆効果となる点を理解していないと誤答につながる。
次に同じ論点が出たら
患者の表情や反応を観察し、理解度を確認しながらコミュニケーションを進める。理解が難しい場合は、別の表現を試みるか、休憩を挟むなどの柔軟な対応が求められる。
関連知識
運動性失語、全失語、伝導失語といった他の失語症の種類とその特徴。失語症患者とのコミュニケーションにおける絵カードや文字盤の活用。環境調整(静かな環境の提供など)。家族への指導。