交通事故によって脊髄損傷で入院した下肢に麻痺のある成人患者。職場復帰に向けて、看護師が患者に説明する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
脊髄損傷で下肢麻痺のある患者が職場復帰する際には、褥瘡予防のための体圧分散マットの使用(選択肢3)と、職場での適切な配慮を得るための疾患情報の共有(選択肢5)が非常に重要です。自己導尿は自宅だけでなく職場でも必要であり(選択肢1は不適切)、飲水制限は尿路感染症などのリスクを高めるため不適切です(選択肢2)。残業時の休憩は体調維持のために必要であり、不要とするのは不適切です(選択肢4)。
選択肢ごとの解説
- 1. 自己導尿は排泄管理の自立を促す重要な方法ですが、職場復帰後は自宅だけでなく、職場など外出先でも行う必要があります。自宅のみに限定する説明は適切ではありません。正しくは:自己導尿は自宅だけでなく、職場など外出先でも行う。選びやすい理由:自己導尿自体は正しいケアだが、場所を限定している点が不適切。混同注意:自己導尿の重要性は理解していても、場所の範囲まで注意が及ばないと誤答しやすい。
- 2. 脊髄損傷患者は、特に膀胱機能障害を持つ場合、尿路感染症や便秘の予防のためにも適切な水分摂取が重要です。飲水を制限すると、これらのリスクを高める可能性があります。排泄回数を気にして飲水を控えることは不適切です。正しくは:仕事中も適切な水分摂取を心がける。選びやすい理由:排泄管理の煩雑さを避けるために飲水を控えたいという心理が働くかもしれない。混同注意:尿失禁や導尿の回数を減らしたいという患者の考えと混同しやすい。
- 3. 正解。下肢麻痺があり車椅子を使用する患者は、座り続けることで褥瘡発生のリスクが高まります。体圧分散マットの使用は、このリスクを軽減するために非常に重要であり、適切な説明です。正しくは:この説明で正しい。選びやすい理由:基本的なケアだが、重要性を認識することが大切。混同注意:褥瘡予防の重要性を見落とすと選択肢から外れる可能性。
- 4. 脊髄損傷患者は、残業に限らず通常の勤務でも疲労管理や体調維持のために適切な休憩が必要です。残業時に休憩が不要とすることは、体調悪化や集中力低下につながりかねず不適切です。労働基準法上も休憩は必要です。正しくは:残業時も含め、定期的な休憩を確保する。選びやすい理由:仕事に熱心になりたい気持ちから、休憩を不要と考える患者もいるかもしれない。混同注意:患者の仕事への意欲と身体的限界を混同しやすい。
- 5. 正解。職場復帰にあたり、脊髄損傷という疾患の特性やそれによって生じる可能性のある症状(排泄管理、体位変換の必要性など)を職場の担当者(上司や産業医など)に共有することは、適切な配慮や支援を受けるために不可欠です。これにより、職場環境の調整や緊急時の対応がスムーズになります。正しくは:この説明で正しい。選びやすい理由:個人情報保護の観点から躊躇するかもしれないが、職場復帰には不可欠な情報共有。混同注意:プライバシーの保護と、安全・円滑な職場復帰のための情報開示のバランスを誤解しやすい。
国試ポイント
脊髄損傷患者の職場復帰支援における、日常生活援助の継続性、合併症予防、および社会資源活用の知識が問われています。特に排泄管理、褥瘡予防、社会的な適応に関する具体的な支援内容を理解しているかが重要です。
混同注意
日常生活での自己管理の知識と、職場復帰という特殊な環境下での配慮事項が混同されやすい。特に、自己導尿の実施場所や飲水の管理など、日常生活での習慣がそのまま職場に適用されるか否かの判断が鍵となります。
次に同じ論点が出たら
患者の職場の状況(バリアフリー対応、理解度など)をさらに詳しく聞き取り、具体的な職場環境調整の提案や、必要に応じて産業医や医療ソーシャルワーカーとの連携を検討する。
関連知識
脊髄損傷後の排泄管理(自己導尿、間欠的自己導尿)、褥瘡予防(体圧分散、体位変換)、残存機能の活用、QOL向上、障害者雇用促進法、合理的配慮。