インスリンを過剰に投与したときに現れる症候で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
インスリンの過量投与により血糖値が急激に低下すると、生体は交感神経を活性化させて血糖を上げようとします。この交感神経刺激症状の一つとして、アドレナリン分泌が亢進し、手足のふるえ(振戦)が引き起こされます。
選択肢ごとの解説
- 1. 発熱は、インスリン過量投与による低血糖の直接的な症状ではありません。低血糖ではむしろ体温が低下する場合があります。正しくは:発熱は感染症などで見られる症状です。低血糖ではむしろ体温低下が起こり得ます。選びやすい理由:体調不良全般の症状として漠然と選ばれる可能性があります。混同注意:感染症による発熱などの一般的な体調不良。
- 2. 浮腫はインスリン過量投与による低血糖の症状ではありません。むしろインスリン抵抗性症候群や心不全、腎不全などで見られます。正しくは:浮腫は心不全、腎不全、肝硬変、薬剤性など様々な原因で起こる症状です。低血糖とは関連が薄いです。選びやすい理由:糖尿病の合併症として腎症などがあり、そこから浮腫を連想する可能性があります。混同注意:糖尿病性腎症や心不全などによる浮腫。
- 3. 口渇感は高血糖の代表的な症状であり、インスリン過量投与による低血糖とは反対の状態です。高血糖により浸透圧利尿が生じ、脱水症状として口渇を訴えます。正しくは:口渇感は高血糖(糖尿病性ケトアシドーシスなど)の症状です。低血糖では通常みられません。選びやすい理由:糖尿病の症状として口渇感が広く知られているため、糖尿病関連の問題で選びやすいと考えられます。混同注意:高血糖による症状(多飲、多尿、口渇感など)。
- 4. 顔面紅潮はインスリン過量投与による低血糖の症状ではありません。むしろアルコール摂取時や更年期障害、薬の副作用などで見られます。正しくは:顔面紅潮は特定の病態や薬剤の副作用で起こる症状です。低血糖では通常、顔面蒼白となることがあります。選びやすい理由:体調不良時に顔色が変化することから、なんとなく選びやすいかもしれません。混同注意:高血糖時の合併症(例:糖尿病性アシドーシスで顔面紅潮が見られることもある)や、一般的な循環器系の反応。
- 5. 正解。インスリンの過量投与により血糖値が低下すると、生体は血糖を上げようと交感神経を活性化させます。この交感神経刺激によりアドレナリンが分泌され、手足のふるえ(振戦)が生じます。これは低血糖の典型的な症状です。選びやすい理由:低血糖の典型的な症状であるため、選択肢として認識しやすいです。混同注意:特になし。低血糖の典型症状として正しく認識されている。
国試ポイント
インスリン過量投与による低血糖症状とその機序を理解しているか。
混同注意
インスリンの過量投与による低血糖症状は、糖尿病性ケトアシドーシスや高血糖による症状と混同されやすい。低血糖は交感神経刺激症状(冷汗、ふるえ、動悸など)と中枢神経症状(意識障害、傾眠、痙攣など)を呈するのに対し、高血糖では多飲、多尿、口渇感、体重減少などが特徴的である。
次に同じ論点が出たら
低血糖の症候に関する問題が出た場合、交感神経が刺激された時に起こる身体反応(ふるえ、冷汗、動悸など)と、脳のエネルギー不足で起こる中枢神経症状(意識障害など)の区別がつけられているかを判断基準とします。
関連知識
低血糖の代表的な症状には、手足のふるえ、冷汗、動悸、空腹感(交感神経刺激症状)のほか、頭痛、目のかすみ、集中力低下、意識障害(中枢神経症状)などがあります。インスリン治療中の患者には、低血糖時の対応(ブドウ糖摂取など)を指導することが重要です。