高齢者の身体拘束に関する説明で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
身体拘束は利用者の行動の自由を制限する重大な行為であり、倫理的・法的に厳しく制限されています。厚生労働省が示す「身体拘束ゼロへの手引き」では、「切迫性」「非代替性」「一時性」の三原則のすべてを満たし、かつ最小限の期間・方法で行われる場合にのみ、最終手段として検討されるべきとされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 身体拘束は、利用者の人権に関わる重大な行為であり、多職種チームで慎重に検討され、最終的には医師の指示と施設長などの承認が必要です。担当看護師が一人で決定することはありません。正しくは:身体拘束の実施は、多職種チームで慎重に検討し、医師の指示と施設長などの承認に基づいて行われる。選びやすい理由:日常的なケアの中で看護師が状況判断する場面が多いため、身体拘束についても看護師の判断で良いと考えてしまいがちです。混同注意:緊急時のやむを得ない抑制と、恒常的な身体拘束の決定プロセスを混同している可能性があります。緊急時であっても、事後的に多職種での検討と記録が必要です。
- 2. ミトン型手袋を装着することは、利用者の手や指の自由な動きを制限する行為であり、厚生労働省が定める身体拘束の具体例の一つとして明確に分類されます。これは、転倒予防やチューブ抜去防止などの目的で行われる場合でも、行動制限と見なされます。正しくは:ミトン型手袋の装着は、利用者の行動を制限する身体拘束である。選びやすい理由:怪我の防止など、利用者にとって良い目的で行われるため、身体拘束という認識が薄い場合があります。混同注意:治療やケアの一環として行われる行為全般と、身体拘束の定義を混同している可能性があります。
- 3. 身体拘束は本人の人権に深く関わるため、本人の同意が最も重要ですが、家族への丁寧な説明と理解を得る努力も必須です。特に高齢者の場合、判断能力が一時的・恒常的に低下している可能性も考慮し、本人だけでなく家族を含めた合意形成が求められます。正しくは:本人が身体拘束に同意していても、家族への十分な説明と理解を得る努力は必要である。選びやすい理由:本人の意思尊重が強調される現代の医療倫理において、本人の同意があれば他者の関与は不要だと考えがちです。混同注意:インフォームド・コンセント(本人への説明と同意)と、家族への情報提供・協力要請の範囲を混同している可能性があります。
- 4. 正解。これは身体拘束を行う際に厳守すべき「身体拘束の三原則」です。利用者の生命や身体が危険にさらされる切迫した状況があり、他の代替手段がない場合に限り、一時的なものとして実施が検討されます。この三原則のどれか一つでも欠けていれば、身体拘束は原則として認められません。
国試ポイント
高齢者ケアにおける身体拘束の原則(三原則)、身体拘束の具体例、多職種連携の必要性、倫理的側面が頻繁に問われます。特に三原則の内容は確実に理解しておく必要があります。
混同注意
身体抑制と身体拘束の用語の混同(一般的にはほぼ同義として扱われるが、国試では「身体拘束」として定義される範囲を問われることが多い)、医療的処置のためのポジショニングと身体拘束の区別、本人同意があれば全て正当化されるという誤解。
次に同じ論点が出たら
次回この論点が出題された場合、身体拘束の具体例(11類型)、身体拘束が利用者に与える悪影響、身体拘束を避けるための具体的なケア、緊急時の対応と事後報告・検討プロセスについて確認しましょう。
関連知識
身体拘束廃止の動向と背景(ノーマライゼーションの理念、高齢者虐待防止法など)、身体拘束の代替策、身体拘束が利用者にもたらす影響(精神的苦痛、身体機能の低下など)、多職種連携の重要性、記録の義務。