Aさん(45歳、男性)は、10年ぶりに会った友人から顔貌の変化を指摘された。顔貌変化を図に示す。Aさんの顔貌変化を引き起こしたホルモンはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下図に示される顔貌変化は、鼻や唇の肥大、下顎の突出、額の隆起といった特徴から、成人における成長ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる末端肥大症(アクロメガリー)を示唆しています。したがって、原因となるホルモンは成長ホルモンです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。成人において成長ホルモンが過剰に分泌されると、末端肥大症(アクロメガリー)を引き起こします。特徴的な顔貌変化として、鼻・唇・舌の肥大、下顎の突出、額の隆起などが挙げられ、友人から指摘されるような容貌の変化と合致します。
- 2. 副甲状腺ホルモンは主に血中カルシウム濃度を調節するホルモンです。過剰分泌は高カルシウム血症を引き起こし、骨病変(骨嚢胞、線維性骨炎など)や腎機能障害、消化器症状などを伴いますが、直接的な特徴的な顔貌変化は通常見られません。正しくは:副甲状腺ホルモンは血中カルシウム濃度を調節し、骨代謝に影響を与えますが、顔貌の変化の直接的な原因とはなりません。選びやすい理由:ホルモン異常が身体に影響を与えるという点で選択肢として考えられるかもしれませんが、具体的な顔貌変化とは結びつきません。混同注意:甲状腺ホルモンと混同しやすいですが、作用は大きく異なります。
- 3. 副腎皮質ホルモンの過剰分泌はクッシング症候群を引き起こします。特徴的な顔貌として「満月様顔貌(ムーンフェイス)」が見られますが、これは顔全体が丸くなる変化であり、末端肥大症のような突出や肥大とは異なります。問題文の図が末端肥大症を示唆している場合、これは誤りです。正しくは:副腎皮質ホルモンの過剰分泌では満月様顔貌(ムーンフェイス)が見られますが、鼻や下顎の肥大・突出のような末端肥大症の顔貌変化とは異なります。選びやすい理由:「顔貌の変化」という点で、クッシング症候群の満月様顔貌を想起しやすく、選びやすい選択肢です。しかし、具体的な顔の変化の質が異なります。混同注意:末端肥大症(成長ホルモン過剰)とクッシング症候群(副腎皮質ホルモン過剰)の顔貌変化の違いを混同しやすいです。
- 4. 甲状腺刺激ホルモン(TSH)は甲状腺ホルモンの分泌を促すホルモンです。TSH自体が直接顔貌変化を引き起こすことは稀で、通常は甲状腺機能亢進症や低下症がその結果として様々な症状を引き起こします。甲状腺機能亢進症では眼球突出が見られることがありますが、これは顔全体の変化というより眼の症状です。正しくは:甲状腺刺激ホルモンは甲状腺機能に影響を与えますが、問題で示唆されるような特徴的な顔貌変化の直接的な原因ではありません。選びやすい理由:甲状腺ホルモン異常が身体症状を引き起こすことを知っていると、関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:甲状腺ホルモンと混同したり、甲状腺機能亢進症による眼球突出と結びつけて誤解したりする可能性があります。
国試ポイント
成人におけるホルモン異常とそれに関連する特徴的な身体所見(特に顔貌変化)を結びつける知識が問われています。末端肥大症、クッシング症候群、バセドウ病など、視診で診断の手がかりとなる疾患の知識は重要です。
混同注意
クッシング症候群による満月様顔貌と末端肥大症の顔貌変化を混同しやすいです。満月様顔貌は顔全体が丸くなるのに対し、末端肥大症は特定の部位(鼻、唇、下顎など)が肥大・突出します。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他のホルモン異常による身体所見(例:バセドウ病の眼球突出、甲状腺機能低下症の浮腫や嗄声、アジソン病の色素沈着など)も視覚情報と結びつけて問われる可能性が高いと予測されます。また、小児における成長ホルモン異常(巨人症、小人症)との違いも押さえておく必要があります。
関連知識
末端肥大症の診断基準、治療法(経蝶形骨洞手術、ソマトスタチンアナログ製剤など)、合併症(糖尿病、高血圧、心疾患、関節症など)。クッシング症候群の原因(下垂体性、副腎性、異所性ACTH産生腫瘍など)と症状。甲状腺機能亢進症・低下症の症状。