Aさん(65歳、女性)は、夫と実父との3人暮らしである。脊柱管狭窄症の術後、地域包括ケア病棟に入院中である。退院後は自宅に戻り室内で車椅子を利用する予定である。Aさんの障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-1である。看護師による家族への指導で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
脊柱管狭窄症術後のAさんはB-1(車椅子で日中生活自立)であるため、ADL拡大には適切な福祉用具の導入が不可欠です。退院後の生活上の課題(例:段差、狭い通路)に応じた福祉用具を選定することで、安全かつ自立した生活を送るための環境を整備できます。これにより、転倒リスクの軽減や介助負担の軽減も図れます。
選択肢ごとの解説
- 1. 家族の生活様式も考慮するが、最も優先すべきはAさんの安全と自立を確保するための環境整備であり、福祉用具の活用など具体的かつ専門的な視点が必要となるため。優先順位が異なる。正しくは:Aさんの自立支援と安全性を最優先し、その上で家族の生活様式も考慮しながら、屋内の環境を整えるよう促す。選びやすい理由:家族の意向を尊重する姿勢は重要であり、一見すると適切なように思えるため。混同注意:患者・家族の意思決定支援と、専門職としての安全・自立支援の優先順位。
- 2. 夜間のトイレ移動を制限することは、AさんのQOLを低下させ、膀胱炎などの健康問題を引き起こす可能性があり、自立支援の観点からも不適切である。安全対策を講じつつ移動の自立を促すべきである。正しくは:夜間に車椅子で安全にトイレへ移動できるよう、必要な福祉用具(ポータブルトイレ、手すり、移動しやすい通路確保など)の導入や介助方法を検討するよう助言する。選びやすい理由:夜間の転倒リスクを回避するという安全面での配慮から、制限が適切に感じられる可能性があるため。混同注意:転倒リスク管理と、ADLの自立支援・QOL維持のバランス。
- 3. 正解。脊柱管狭窄症術後のAさんはB-1であり、車椅子での生活が予定されている。退院後の生活環境に適した福祉用具を選定・導入することで、Aさんの自立した移動と安全が確保され、家族の介護負担も軽減される。これは最も具体的で適切な支援である。選びやすい理由:(正答のため特になし)混同注意:(正答のため特になし)
- 4. Aさんの障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-1であり、「車椅子に移乗し、日中を過ごす」レベルである。ベッドから車椅子への移乗介助にリフトの導入を促すのは、過剰な介助であり、Aさんの残存能力の活用や自立支援の機会を奪う可能性があるため不適切である。まずは本人の能力に応じた移乗方法を検討すべきである。正しくは:Aさんの残存能力を活かしつつ、ベッドから車椅子への安全な移動介助方法(例:手すりの設置、介助方法の指導)を検討し、必要に応じてリフトの導入も選択肢の一つとして検討する。選びやすい理由:介助者の身体負担軽減を考えるとリフト導入が有効に思えるため、また「移乗介助」というキーワードから機械的介助を連想しやすいため。混同注意:介助者の負担軽減と患者の自立支援の優先順位、また個人のADLレベルに応じた適切な介助用具の選択。
国試ポイント
高齢者や障害者の自立支援における福祉用具の活用と、日常生活自立度判定基準(ADL)に基づいた具体的な支援内容を理解しているかが問われている。
混同注意
生活様式を優先することは重要ですが、安全性や自立度向上が最優先されます。また、過度な制限や特定の介助用具の強制は適切ではありません。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、まず患者のADLレベルと生活環境、そして「最も適切な指導」という設問の意図に着目し、自立支援と安全確保に資する選択肢が何かを判断する。
関連知識
障害高齢者の日常生活自立度判定基準(ランクJ、A、B、C)、介護保険制度における福祉用具貸与・購入の対象品目、ケアマネジメントにおける多職種連携(理学療法士、作業療法士、福祉用具専門相談員など)。