午前10時、A県内で大規模災害が発生した。A県内の救命救急センターに、家屋等の倒壊現場から救助された傷病者の受け入れ要請があり病院に搬送された。直ちにトリアージが行われた。搬送されてきたBさん(45歳、男性)には頻呼吸が認められ、胸部と背部の痛みを訴え、吸気時に胸郭が陥没し、呼気時には膨隆している。 Bさんに考えられる状態はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
フレイルチェストは、複数の肋骨が隣接して2箇所以上で骨折している状態(多発肋骨骨折)で、これにより胸壁の一部が呼吸運動と逆方向に動く「奇異呼吸」を呈します。これは吸気時に患部が陥没し、呼気時に膨隆する動揺性胸郭として観察されます。設問の「陥没呼吸」や「奇異呼吸」という表現は、このフレイルチェストに典型的な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 過換気症候群は呼吸困難感や手足のしびれなどが主症状であり、胸部の陥没呼吸や奇異呼吸とは直接的に結びつきません。正しくは:呼吸困難感や手足のしびれなどの症状が主であり、胸部の外傷と直接関連しません。選びやすい理由:呼吸に関連する症状のため、一時的に考慮されるかもしれませんが、身体所見が異なります。混同注意:呼吸器系の問題全般と混同しがちですが、具体的な身体所見から鑑別が必要です。
- 2. 虚血性心疾患は胸痛が主症状ですが、胸壁の陥没や奇異呼吸といった外傷に関連する身体所見とは通常、直接関連しません。正しくは:胸痛が主な症状であり、胸部の陥没や奇異呼吸といった外傷性の所見とは関連性が低いです。選びやすい理由:胸痛があるため、鑑別疾患に挙がる可能性はありますが、呼吸様式や胸壁の視診所見が異なります。混同注意:胸痛がある疾患として考えられるかもしれませんが、外傷の既往や呼吸様式から除外できます。
- 3. 腰椎圧迫骨折は背部の痛みや体動時の痛みが主症状であり、胸部の陥没呼吸や奇異呼吸とは部位が異なるため関連性がありません。正しくは:背部の痛みなどが主な症状であり、胸部の呼吸様式異常とは関連がありません。選びやすい理由:骨折という点では共通しますが、部位が全く異なるため関連性はありません。混同注意:骨折と聞くと外傷と結びつけやすいですが、部位の特異性を理解することが重要です。
- 4. 正解。フレイルチェストは複数の肋骨が隣接して2箇所以上で骨折している状態(多発肋骨骨折)で、吸気時に患部が陥没し、呼気時に膨隆する奇異呼吸(胸壁動揺)を特徴とします。これは胸部の外傷によって引き起こされ、設問の「陥没呼吸」や「奇異呼吸」と合致します。正しくは:この病態は、複数肋骨の多発骨折により胸壁の一部が呼吸運動と逆方向に動く奇異呼吸を特徴とします。これは陥没呼吸と合致します。選びやすい理由:胸部外傷後の呼吸困難や胸痛は他の疾患でも見られますが、「奇異呼吸」という特徴的な所見がフレイルチェストを強く示唆します。混同注意:単なる肋骨骨折と混同しやすいですが、フレイルチェストは多発骨折による胸壁の不安定性が原因であり、奇異呼吸を呈する点が重要です。
国試ポイント
外傷後の呼吸器症状において、特徴的な呼吸様式(奇異呼吸、陥没呼吸)と病態との関連性を理解しているかが問われています。フレイルチェストは胸部外傷における重篤な合併症の一つであり、その症状とメカニズムを正確に把握しておく必要があります。
混同注意
単なる肋骨骨折(奇異呼吸を伴わない)、気胸、血胸など、胸部外傷で起こりうる他の病態と混同しやすいですが、奇異呼吸はフレイルチェストに特有の所見です。
次に同じ論点が出たら
この状態を特定した後、直ちに行うべきアセスメントや看護介入は何かを問う問題に繋がる可能性があります(例:動脈血ガス分析、呼吸器装着の準備、疼痛緩和)。
関連知識
フレイルチェストは呼吸不全に繋がりやすいため、早期の認識と適切な処置(鎮痛、呼吸管理、場合によっては手術)が重要です。気道確保、酸素投与、疼痛管理、呼吸理学療法が看護の重要な介入となります。