慢性疾患がある成人のアドヒアランスを高める要因はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
患者が自身の療養方法のメリット(治療効果)とデメリット(副作用、負担など)を正確に理解し、それらを総合的に評価できる状態にあることは、治療に対する納得感を高め、主体的な継続を促す上で非常に重要な要素です。この理解が、治療への動機付けとなり、結果的にアドヒアランスの向上に繋がります。
選択肢ごとの解説
- 1. 自覚症状がない場合、患者は自身の疾患の重症度や治療の必要性を認識しにくくなり、結果としてアドヒアランスが低下する傾向にあります。特に高血圧などの疾患では自覚症状がないために治療の中断が起こりやすいです。正しくは:症状があることで、患者は自身の健康状態や治療の必要性をより強く認識し、アドヒアランスを保ちやすくなります。選びやすい理由:症状がない方が快適だと感じるため、一見良いことのように思えるかもしれませんが、治療継続の動機付けとしては逆効果となることがあります。混同注意:「自覚症状がない」と「病識がない」を混同しやすいです。病識がないとアドヒアランスは低下しますが、自覚症状がなくても病識があればアドヒアランスは維持されえます。
- 2. 治療費が高額であることは、患者の経済的負担を増やし、治療の中断や中断、通院の断念に繋がりやすいため、アドヒアランスを低下させる主要な要因の一つとなります。正しくは:治療費が手頃であるか、公的な医療費助成制度が利用できること。選びやすい理由:高額な治療費を払っているのだから、元を取ろうとして頑張る、と考える人もいるかもしれませんが、実際には経済的負担が治療継続の障壁となることの方が多いです。混同注意:治療費の経済的負担が、治療効果への期待と混同されることがあります。期待が高くても経済的負担が大きければ継続は困難です。
- 3. 療養方法が複雑(例:多剤併用、複雑な時間管理、特別な食事制限)であると、患者は指示を理解しにくく、実践が困難になり、誤りやすくなるため、アドヒアランスが低下します。正しくは:療養方法がシンプルで理解しやすく、日常生活に取り入れやすいこと。選びやすい理由:複雑な治療法ほど効果が高いのではないか、という誤解から、難易度が高い方が真面目にやる、と考える可能性もありますが、現実には実行のハードルが上がります。混同注意:複雑な治療が「高度な治療」と混同されやすいですが、アドヒアランスの観点からは、簡便さが重要です。
- 4. 正解。患者が自身の治療法の利益(症状改善、合併症予防など)と潜在的な害(副作用、生活制限など)を十分に理解し、納得している場合、治療への動機付けが高まり、主体的に治療を継続しようとするため、アドヒアランスが向上します。これは、インフォームド・コンセントの原則にも通じます。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため該当なし)混同注意:(正答のため該当なし)
国試ポイント
慢性疾患患者のアドヒアランス向上のための看護師の役割、特に患者教育や情報提供の重要性を問う問題です。患者の理解度や自己決定を支援する視点が重要になります。
混同注意
アドヒアランスとコンプライアンスの用語の違いを理解しているか問われることもあります。コンプライアンスは医療者側からの指示への従順さを強調するのに対し、アドヒアランスは患者の主体的な意思決定をより重視します。
次に同じ論点が出たら
この論点が出たら、次に「患者中心のケア」や「共有意思決定(SDM: Shared Decision Making)」の具体的な介入方法を問う問題が出る可能性があります。また、アドヒアランスが低い場合の具体的な看護介入についても確認すると良いでしょう。
関連知識
インフォームド・コンセント、患者教育、ヘルスリテラシー、セルフケア支援、疾患管理、QOL(生活の質)の向上、慢性疾患の病態生理と治療方法の理解。