健常な成人の心臓について、右心室と左心室で等しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
健康な成人において、心臓の右心室と左心室は、肺循環と体循環という異なる役割を担いますが、互いに直列につながっているため、血液を送り出すリズム(単位時間あたりの収縮回数、すなわち心拍数)と、一度に送り出す血液量(1回拍出量)は等しくなければなりません。もしこれらの項目が異なれば、全身の血液循環が滞り、生命維持に支障をきたします。一方、血液を送り出す先の抵抗が体循環と肺循環では大きく異なるため、収縮期圧、拡張期圧、およびそれに耐えうる心室壁の厚さは、左右の心室で異なります。左心室は体循環への高い抵抗に対抗するため、右心室よりも高い圧力を発生させ、より厚い心室壁を持ちます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。右心室と左心室は、心臓内で直列につながっており、全身と肺の循環を維持するために同じリズムで収縮・拡張を繰り返します。そのため、単位時間あたりの収縮回数(心拍数)は両心室で等しくなります。正しくは:正しい選択肢です。選びやすい理由:心臓全体の機能として自然なため、選択しやすい。混同注意:心拍数は左右の心室で常に同期しているという生理学的理解が重要です。
- 2. 拡張期の圧力は、左心室の方が右心室よりも高くなります。これは、左心室が全身循環を担い、より高い負荷に耐える必要があるため、拡張期においても右心室よりも高い圧力を維持しているからです。正しくは:「左心室の方が右心室よりも高くなる」と修正。選びやすい理由:漠然と「心臓内の圧力」と捉えると間違えやすい。混同注意:拡張期圧は心室の充満度と関連し、左右で循環系が異なるため圧力も異なります。
- 3. 収縮期の圧力は、左心室の方が右心室よりも大幅に高くなります。左心室は全身に血液を送り出すため、約120mmHgの収縮期圧が必要であるのに対し、右心室は肺循環に血液を送り出すため、約25mmHgの収縮期圧で十分です。正しくは:「左心室の方が右心室よりも大幅に高くなる」と修正。選びやすい理由:拍出量が同じなので、圧力も同じだと誤解しやすい。混同注意:収縮期圧は、血液を送り出す先の血管抵抗に大きく依存するため、全身循環と肺循環では大きく異なります。
- 4. 左心室の心室壁は、全身循環への高い抵抗に対抗して血液を送り出すため、右心室よりもはるかに厚くなっています。右心室は肺循環という低抵抗系に血液を送るため、壁は比較的薄いです。正しくは:「左心室の方が右心室よりもはるかに厚い」と修正。選びやすい理由:壁の厚さが機能と直結しているという点を忘れがち。混同注意:心室壁の厚さは、その心室が担う仕事量に比例します。
- 5. 正解。左右の心室は直列のポンプとして機能しており、全身循環と肺循環で血液量が滞らないよう、1回の収縮で送り出す血液量(1回拍出量)は常に等しくなければなりません。もし異なれば、いずれかの循環系で血液が滞留するか枯渇するかしてしまいます。正しくは:正しい選択肢です。選びやすい理由:圧力や壁の厚さが異なるため、拍出量も異なると誤解しやすいが、循環の連続性を考えると等しくなる。混同注意:拍出量が異なる場合、全身循環と肺循環のバランスが崩れ、生命維持が困難になるという生理学的理解が重要です。
国試ポイント
本問題は、心臓の構造と機能に関する基本的な生理学知識を問うものです。特に、右心室と左心室が直列のポンプとしてどのように連携しているかを理解しているかがポイントとなります。心拍数や1回拍出量が等しいことは、循環の連続性を保つ上で不可欠な生理現象です。
混同注意
「収縮期・拡張期の圧力」と「1回拍出量」は混同しやすい点です。圧力が異なるため拍出量も異なると思いがちですが、循環が直列である以上、拍出量は等しくなります。また、心室壁の厚さが左右で異なる点も、その心室が担当する仕事量(抵抗)の違いから生じることを理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
この問題の正答肢を理解できたら、次に心不全や弁膜症などの病態において、これらの項目(心拍数、1回拍出量、圧力、壁の厚さ)がどのように変化するか、その病態生理を考察してみると良いでしょう。
関連知識
心拍出量 = 1回拍出量 × 心拍数。この関係式からも、1回拍出量と心拍数の重要性がわかります。また、体循環と肺循環の経路、各部位での圧力差、そしてそれに対応する心臓の構造的特徴(例:心筋の厚さ、弁の種類と機能)も関連知識として重要です。