Aさん(76歳、女性)。夫(74歳)と2人暮らし。6年前にParkinson〈パーキンソン〉病と診断された。現在、Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージIII、要介護1である。トイレと浴室には手すりが設置されている。レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。最近、足がすくむことが増えたため受診した。Aさんは主治医から「薬剤の効果を評価するために、服薬時間や生活の状況を日誌に記録しましょう。2週後にまた受診してください」と説明を受けた。 外来看護師が日誌に記録する内容をAさんに指導することになった。日誌に記録する内容で最も重要なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
振戦(手足の震え)は、パーキンソン病など神経疾患の主要な症状であり、病状の進行や治療効果の評価に不可欠な観察項目です。外来患者が日誌に記録する内容として、このような疾患特異性が高く、医療判断に直接影響する症状の有無は、他の一般的な身体状況の項目と比較して「最も重要」と考えられます。日々の振戦の有無や程度を記録することで、症状の客観的な変化を把握し、次回の診察での情報共有や治療方針の決定に役立てることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 摂食量は患者の栄養状態や全身状態を把握する上で重要ですが、外来で記録する内容として、特定の疾患の観察項目と比較した場合、最も重要とは限りません。特に神経疾患など特定の症状を持つ患者の場合、振戦の有無の方が直接的な症状評価になります。正しくは:疾患や状況に応じて重要度は変わりますが、振戦の有無の方が緊急性や疾患特異性が高い場合があります。選びやすい理由:一般的なバイタルサインや日々の生活状況の指標として重要であるため、迷いやすいかもしれません。混同注意:患者の全体的な健康状態を把握するためには必要ですが、設問の「最も重要」という点を見落としやすいです。
- 2. 排泄物の性状は消化器系の状態を把握する上で重要ですが、設問が一般的に最も重要な項目を問うている場合、振戦のような特定の疾患に特異的で、かつ重篤な症状の有無の方が優先されることがあります。正しくは:振戦はパーキンソン病などの神経疾患において重要な観察項目であり、疾患の進行度や治療効果を判断する上で便の性状よりも直接的な情報となり得ます。選びやすい理由:排便状況も患者の全身状態を反映するため、重要な情報と捉えられやすいです。混同注意:日々の生活状況で変化しやすいため、記録の必要性を感じやすいですが、緊急性や疾患特異性を比較すると劣ります。
- 3. 正解。振戦(手足の震え)は、パーキンソン病などの神経変性疾患や、甲状腺機能亢進症、薬物副作用など、特定の疾患や病態に特異的な重要な症状です。特に神経疾患の外来患者にとって、振戦の有無や程度は疾患の進行度や治療効果、薬の調整など、その後の医療的介入に直結する非常に重要な情報となります。日誌に記録することで、症状の変化を客観的に把握し、適切な医療判断に繋げることができます。正しくは:この選択肢は疾患特異性が高く、重篤な症状の有無を示すため、最も重要な記録内容と考えられます。選びやすい理由:他の選択肢も日誌記録として意味がありますが、疾患特異性や治療への影響度で劣ります。混同注意:他の選択肢も健康状態の指標ですが、振戦は特に進行性の疾患で重要となるため、その違いを理解することが重要です。
- 4. 排尿回数は泌尿器系の状態を把握する上で重要ですが、一般的な外来患者の日誌記録において、振戦の有無のように特定の重篤な疾患に直接関連する症状と比較すると、最も重要とは言えません。正しくは:頻尿や排尿困難など、排尿に関する問題は重要ですが、振戦は神経系の重要なサインであり、より広範な疾患で共通して重要視される症状の一つです。選びやすい理由:排尿も日々の健康状態を示す指標の一つであり、特に高齢者や泌尿器疾患を持つ患者では重要と考えるかもしれません。混同注意:水分バランスや腎機能の指標として捉えられやすいですが、疾患特異性や重篤性という観点では振戦に劣ります。
国試ポイント
この問題は、看護師が患者指導を行う際に、患者の疾患や状況に応じて「最も重要な情報」を見極める能力を問うものです。単に一般的なバイタルサインや生活習慣の記録だけでなく、特定の疾患の症状に特化して、治療や予後に大きく影響する項目を優先して指導できるかがポイントとなります。看護師には、患者の訴えや状態をアセスメントし、適切な記録項目を選択する知識が求められます。
混同注意
日誌に記録する内容として、選択肢のいずれもが無意味ではありません。しかし、「最も重要」という限定的な条件が付いているため、より疾患特異性が高く、患者の状態や治療方針に直接影響を与える項目を選ぶ必要があります。食事量、便の性状、排尿回数といった項目は一般的な健康状態の指標ですが、振戦は特定の神経疾患などにおいて、その疾患の中心的な症状となる点で他の項目と異なります。
次に同じ論点が出たら
患者がどのような疾患を抱えているのか、または疑われているのかをまず把握し、その疾患に最も特異的で、かつ治療方針や予後を左右する可能性のある症状を優先的に記録するよう指導することが求められます。例えば、パーキンソン病患者であれば振戦、糖尿病患者であれば血糖値、心不全患者であれば浮腫の有無や体重変動など、疾患に応じて重点を置く項目が変わります。
関連知識
神経変性疾患(パーキンソン病など)の主な症状、薬物性振戦、甲状腺機能亢進症の症状、およびこれらの疾患における看護アセスメントと観察項目について理解しておく必要があります。また、患者教育において、自己観察の重要性とその具体的な方法を指導するスキルも関連します。