成人患者の気管内の一時的吸引における吸引圧で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
成人患者の気管内吸引における適切な吸引圧は、一般的に-100〜-150mmHgとされています。この範囲は、気道粘膜への損傷を最小限に抑えつつ、効果的に分泌物を除去できるバランスの取れた圧です。これよりも低いと分泌物除去が不十分になる可能性があり、高すぎると気道粘膜の損傷、出血、気管浮腫、気管狭窄、気管壁の穿孔、低酸素血症などのリスクが高まります。特に、カテーテルの吸引孔が粘膜に吸着すると、部分的な高圧が生じて損傷を拡大させる危険性もあります。患者の年齢や状態、分泌物の性状によって多少調整されることもありますが、基本は上記がガイドラインとなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。成人患者の気管内吸引において、気道粘膜への損傷を最小限に抑えつつ効果的に分泌物を除去するためには、-100〜-150mmHgの吸引圧が推奨されます。これ以上の圧は粘膜損傷のリスクを高め、吸引カテーテルの閉塞や肺組織への影響も考慮されます。
- 2. この範囲の吸引圧は成人患者の気管内吸引には高すぎます。粘膜損傷のリスクが著しく増加し、特に脆弱な気道では出血や浮腫、気管狭窄の原因となる可能性があります。正しくは:適切な吸引圧は-100〜-150mmHgです。選びやすい理由:より強い圧の方が効率的に分泌物を除去できると誤解されることがあります。混同注意:胃管吸引や口腔・鼻腔吸引など、より高い圧力が許容される他の吸引と混同する可能性があります。
- 3. この吸引圧は成人患者の気管内吸引では非常に危険です。気道粘膜の広範囲な損傷、出血、肺胞虚脱、低酸素血症などの重篤な合併症を引き起こす可能性が高く、絶対に使用すべきではありません。正しくは:適切な吸引圧は-100〜-150mmHgです。選びやすい理由:緊急時に強い吸引が必要だと感じるかもしれませんが、気管内吸引の目的は安全に分泌物を除去することです。混同注意:工業用または他の医療処置で用いられる非常に高い吸引圧と混同する可能性があります。
- 4. この吸引圧は医学的に見て極めて異常であり、成人患者の気管内吸引に使用すると生命に関わる重篤な損傷を引き起こします。気管の破裂や肺組織の広範な損傷など、回復不能な状態に陥るリスクがあります。正しくは:適切な吸引圧は-100〜-150mmHgです。選びやすい理由:物理的に非常に強い力で吸い出せば良いという誤った認識に基づいています。混同注意:吸引圧の単位や範囲に対する基本的な知識が不足している場合に選びがちです。
国試ポイント
気管内吸引の吸引圧は、看護師が日常的に行う重要な手技であり、患者の安全を直接左右するため、国家試験では基本的な知識として頻繁に問われます。特に、成人・小児・新生児といった対象ごとの適切な圧の範囲は必須知識です。粘膜損傷や低酸素血症などの合併症リスクを回避するための根拠を理解しているかが問われます。
混同注意
小児や新生児の吸引圧(より低い)、口腔・鼻腔吸引圧(より高い)、胃管吸引圧(より高い)など、対象や目的の異なる吸引手技の推奨圧と混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
この論点が次に問われる場合、具体的な患者の状態(例:COPD患者、心疾患患者)における吸引圧の調整や、カテーテル挿入の深さ、吸引時の患者の姿勢、または吸引中の観察項目などが問われる可能性があります。また、吸引圧の単位(mmHg, kPa, cmH2O)の換算も知識として問われるかもしれません。
関連知識
気管内吸引時の適切なカテーテルサイズ(気管内チューブ内径の1/2以下)、吸引時間(1回10〜15秒以内)、吸引回数、吸引前の酸素供給(前酸素化)、吸引時の無菌操作、吸引の適応と禁忌、合併症とその対応など。また、吸引カテーテル挿入時の気管支痙攣や迷走神経刺激による徐脈のリスクも関連知識です。