Aさん(65歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。友人の死去後、食事量が減り、1か月前から気分の落ち込みが強くなった。夫が積極的に散歩に誘っても、Aさんは「体がだるい」「何をしても意味がない」と話し、寝つきも悪くなり、日中ほとんどの時間を臥床して過ごすようになった。心配した夫に連れられて精神科外来を受診したところ、うつ病と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉と不眠時の睡眠薬が処方された。夫から精神科外来の看護師に「日常生活で気を付けることはありますか」と質問があった。 Aさんは要介護2の認定を受け、介護サービスを検討することになった。体調が良いときは、夫の料理を手伝ったり散歩に出かけている。排泄や着替えは時間をかけて1人で行えるが、入浴は夫の介助が必要である。夫は「入浴のサポートを受けたり、自分が不在のときに泊まれる場所はないか」と話している。外来看護師がAさんの希望を聞くと「人が多い場所は苦手です。家の近くで好きなときに通えたり、家に来てもらえると安心です」と話した。Aさんに紹介するサービスで適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Aさんは要介護2の認定を受けており、介護保険サービスの利用を検討しています。夫は「入浴のサポート」と「自分が不在のときの宿泊場所」を希望し、Aさん自身は「人が多い場所は苦手」「家の近くで好きなときに通いたい」「家に来てもらえると安心」と希望しています。小規模多機能型居宅介護は、「通い」「泊まり」「訪問」のサービスを一体的に提供し、少人数登録制であるため、これらの複数のニーズを総合的に満たすことができます。他の選択肢は、認知症の有無、サービスの対象法、提供されるサービス内容の範囲において、Aさんと夫の全てのニーズに合致しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。小規模多機能型居宅介護は、「通い」「泊まり」「訪問」の3つのサービスを組み合わせて利用でき、利用者の状態や希望に応じて柔軟な対応が可能です。Aさんの夫の「入浴のサポートを受けたい」「自分が不在のときに泊まれる場所はないか」という要望と、Aさん自身の「人が多い場所は苦手」「家の近くで好きなときに通いたい」「家に来てもらえると安心」という希望に最も合致するサービスです。少人数の登録制であるため、Aさんの「人が多い場所は苦手」という点も考慮されます。選びやすい理由:他のサービスも介護保険制度内で提供されるが、Aさんと夫の複数のニーズ(通い、泊まり、訪問、少人数制)を同時に満たせるのはこのサービスが最適であるため。混同注意:他のデイサービスでは泊まりや訪問の機能が一体となっていないため、複数のサービスを個別に契約する必要が生じ、Aさんの希望する「安心感」や夫の利便性から外れる可能性がある。
- 2. 認知症対応型通所介護は、認知症の利用者を対象とした通所サービスであり、Aさんの現在の情報からは認知症の診断が確認できません。また、このサービスには「泊まり」や「訪問」の機能が原則として含まれていません。正しくは:Aさんの情報に認知症の診断や症状の記載がない場合、このサービスは適切ではありません。また、泊まりや訪問のニーズにも対応できません。選びやすい理由:通所介護の一種であり、日中の活動支援という点では共通するが、認知症の有無と泊まり・訪問のニーズに対応できない点で不適切。混同注意:通所介護と小規模多機能型居宅介護を混同すると、認知症対応型通所介護も選択肢に入り得るが、Aさんのケースでは認知症の記載がなく、泊まりや訪問のニーズも考慮する必要がある。
- 3. 自立訓練は、障害者総合支援法に基づくサービスであり、身体機能や生活能力の向上を目指すものです。Aさんは要介護2の認定を受けており、介護保険サービスを検討している状況であるため、このサービスは対象外です。正しくは:Aさんは介護保険の対象であり、障害者総合支援法のサービスである自立訓練は適切ではありません。選びやすい理由:「自立」という言葉から、排泄や着替えを1人で行いたいというAさんの希望に合致するように感じるかもしれないが、法制度が異なる。混同注意:介護保険サービスと障害福祉サービスの違いが明確でないと、名称から判断を誤る可能性がある。Aさんの要介護認定は介護保険サービスの利用前提である。
- 4. 療養介護は、医療的ケアが常時必要な障害者を対象とした障害者総合支援法に基づくサービスです。Aさんは要介護2の認定であり、現在の情報からは医療的ケアの必要性や障害者総合支援法の対象者であるという記述がありません。そのため、このサービスは適切ではありません。正しくは:Aさんは介護保険の対象であり、障害者総合支援法のサービスである療養介護は適切ではありません。また、常時医療的ケアが必要という状況でもありません。選びやすい理由:「介護」という言葉が含まれるため、介護サービスの一種と誤解するかもしれないが、これは医療的ケアを必要とする重度障害者向けのサービスであり、制度も異なる。混同注意:自立訓練と同様に、介護保険サービスと障害福祉サービスの違いを理解していないと誤って選択する可能性がある。また、「療養」という言葉から医療機関でのサービスを想像するかもしれないが、これも障害福祉サービスの一環である。
国試ポイント
介護保険制度における各サービスの目的、対象者、提供されるサービス内容の理解が問われています。特に、小規模多機能型居宅介護の複合的な機能と、利用者の個別ニーズへの適合性を判断できるかが重要です。また、介護保険サービスと障害者総合支援法に基づくサービスの区別も重要なポイントです。
混同注意
認知症対応型通所介護は、通所サービスという点で一部ニーズを満たすように見えるが、認知症の診断が不明な点と泊まり・訪問機能がない点で不適切。自立訓練や療養介護は、名称に「訓練」や「介護」が含まれるため誤解しやすいが、これらは障害者総合支援法に基づくサービスであり、Aさんのような介護保険の要介護認定者には直接適用されません。
次に同じ論点が出たら
Aさんの現在の状態に加え、認知症の有無や進行度合い、その他の医療ニーズ、家族の介護力、地域のサービス提供状況などを総合的に評価し、最も適切なサービス計画を策定する能力が求められます。
関連知識
地域密着型サービスの種類(小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護など)、介護保険サービスと障害福祉サービスの法制度上の違い、各サービスの具体的な提供内容(通い、泊まり、訪問、短期入所、通所、訪問介護など)を深く理解している必要があります。