Aさん(73歳、女性)は1人で暮らしており、脳梗塞で入院した。Aさんは左半身に麻痺があり、認知機能障害はない。4点杖を使用して歩行が可能となり、住宅改修をして自宅に退院した。退院後は、降圧薬と抗血栓薬が処方され、服薬管理と健康管理の目的で訪問看護を週1回、調理と買い物代行の目的で訪問介護を週1回利用している。Aさんは「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。 退院から3か月後、Aさんはテレビを見て過ごす時間が多くなった。「買い物や調理が面倒になって、同じものばかり作っています」と言い「退院したころは毎日排便があったのに、最近便秘気味ですっきりしないんです」と訴えた。訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Aさんの訴えからは、退院後の活動量低下に加え、「買い物や調理が面倒で同じものばかり作っている」という発言から、食事内容の偏りや食物繊維・水分の不足が便秘の主要な原因であると推察されます。訪問看護師として、まずは生活習慣、特に食事内容の見直しを含む具体的な指導を行うことが、便秘改善への最も根本的かつ適切な対応です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Aさんの訴え(「買い物や調理が面倒になり、同じものばかり作っている」)から、食事内容の偏りや食物繊維・水分の不足が便秘の主な原因として考えられます。活動量の低下も影響している可能性があり、まずは生活習慣、特に食事からのアプローチが最も適切で、看護師が最初に行うべき指導です。
- 2. 温罨法は便秘による腹部不快感の緩和や腸の動きを活性化させる効果がありますが、便秘の根本的な原因(食事内容の偏りや活動量不足)を解決するものではありません。あくまで対症療法の一つであり、最初の対応としては適切性に欠けます。正しくは:食事内容の改善や水分摂取の増加、適度な運動といった生活習慣の指導を優先し、温罨法は補助的な手段として検討します。選びやすい理由:温罨法が便秘緩和に有効であるという一般的な知識があるため、正しい選択肢だと感じやすいかもしれません。混同注意:便秘に対する対症療法と、根本的な原因へのアプローチの区別が混同されやすいです。
- 3. 市販の浣腸液は即効性がありますが、常用すると腸への過度な刺激や、自力での排便能力の低下を招く恐れがあります。また、便秘の原因解決にはならず、看護師が初めに勧める対応としては適切ではありません。医師への相談や生活習慣の見直しが優先されるべきです。正しくは:医療者の指示なく安易に市販薬の使用を勧めるのではなく、まずは生活習慣の改善を指導し、それでも改善しない場合に医師へ相談する方針を示します。選びやすい理由:便秘の即効性のある解決策として、手軽な市販薬を思いつきやすいですが、そのデメリットや看護師の役割を踏まえると不適切です。混同注意:症状の即時的な解決と、長期的な健康への影響や医療専門職としての適切な介入範囲が混同されやすいです。
- 4. 緩下薬の処方は医師の判断に基づき行われるべきであり、訪問看護師が最初の対応として主治医に処方相談をすることは適切ではありません。まずはAさんの生活習慣(食事、水分摂取、活動量)を具体的にアセスメントし、看護師としてできる生活指導を試みるのが先決です。薬物療法は生活習慣の改善で効果が見られない場合の次のステップとなります。正しくは:まずAさんの生活状況を詳細にアセスメントし、食事内容や水分摂取量、運動習慣などの生活指導を看護師が行います。それでも便秘が改善しない場合に、主治医に相談することを検討します。選びやすい理由:便秘が続いている状況で、薬物による解決をすぐに考えてしまいがちですが、看護師の役割や介入の優先順位を理解しているかが問われます。混同注意:看護師の独立した役割と、医師との連携が必要な場面の区別、また生活習慣の改善が薬物療法に先行するという原則が混同されやすいです。
国試ポイント
高齢者の便秘に対する生活習慣の改善の重要性、訪問看護におけるアセスメント能力と適切な介入の優先順位、そして多職種連携(医師への相談タイミング)の判断能力が問われています。特に、看護師が最初に行うべき指導の選択肢を見極めることが重要です。
混同注意
便秘に対する対症療法(温罨法、浣腸)と根本療法(生活習慣改善)の区別、また看護師の独立した役割と医師の指示を仰ぐべき場面の区別が混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
食事内容の見直しと具体的な指導(食物繊維の多い食品、十分な水分摂取など)、適度な運動の促しなどを実施し、その効果を評価します。それでも便秘が改善しない場合は、さらに詳しいアセスメントを行い、必要に応じて主治医に相談することを検討します。
関連知識
便秘のメカニズム、高齢者の便秘の主な原因と対策(食事、水分、運動、規則的な排便習慣)、訪問看護におけるアセスメントと生活指導のポイント、薬物療法(緩下薬、浣腸)の注意点と適用について理解している必要があります。