Aさん(56歳、女性、主婦)は、食後に冷汗を伴う腹痛があり外来を受診した。腹部超音波検査の結果、胆石症と診断され、腹腔鏡下胆囊摘出術の目的で入院した。看護師は手術オリエンテーションで、術後の入院期間は2日と説明した。Aさんは、同じ手術を受けた妹が合併症で3週間以上食事もできなかったので、自分も同じ合併症を発症するかもしれないと心配そうに話した。 Aさんの妹が発症した合併症はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
胆汁瘻は肝臓や胆道の損傷により胆汁が腹腔内や体外に漏れ出す病態で、肝生検後の主要な合併症の一つです。肝生検では、肝組織を採取する際に胆管が損傷し、胆汁が漏出するリスクがあります。漏れ出た胆汁は腹腔内に貯留し、感染を引き起こす可能性もあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺炎は肺の実質に炎症が起こる病態であり、肝生検後に直接関連する合併症としては稀です。一般的に誤嚥や免疫力低下などによって発症します。正しくは:肝生検後に発症する肺合併症としては、穿刺部位から肺に達した場合の気胸の可能性の方が高いです。選びやすい理由:術後合併症として一般的に肺炎が挙げられるため、安易に選択しやすい可能性があります。しかし、肝生検と肺炎の直接的な因果関係は薄いです。混同注意:術後合併症一般。特に、胸部への侵襲がある手術後の肺合併症(無気肺、肺炎)と混同しやすい。
- 2. 正解。肝生検は肝臓に直接針を刺して組織を採取するため、胆管が損傷し胆汁が腹腔内や体外に漏れ出す胆汁瘻は起こり得る合併症です。選びやすい理由:肝臓は胆汁を産生する臓器であるため、肝臓への侵襲を伴う手技である肝生検の合併症として、胆汁の漏出を想像しやすいから。混同注意:胆管炎や胆嚢炎などの胆道系の炎症性疾患の病態。
- 3. 皮下気腫は、空気(気体)が皮下組織に貯留する状態を指します。肝生検では、胸腔内に穿刺が及ぶと気胸を引き起こす可能性はありますが、皮下気腫は直接的な主要合併症としては稀です。胸腔穿刺や気管切開などで生じやすいです。正しくは:肝生検で胸膜が穿通された場合に発生するのは気胸であり、皮下気腫はまれです。皮下気腫の発生機序から、胸部外傷や人工呼吸器関連合併症などの方がより適切です。選びやすい理由:気胸という肝生検で起こりうる合併症と似た「気」のつく症状であるため、混同して選択しやすい可能性があります。混同注意:気胸。空気の漏出という点で似ているが、発生部位が異なる。
- 4. 深部静脈血栓症は、手術による安静臥床、血管内皮損傷、血液凝固能亢進などが主な原因であり、主に下肢の深部静脈に血栓が形成される病態です。肝生検単独が直接的な主要原因となることは稀です。一般的な術後合併症ではありますが、肝生検に特異的な合併症ではありません。正しくは:肝生検では安静臥床は短期間であり、肝生検そのものが深部静脈血栓症の主要なリスクとはなりません。一般的な手術後の合併症として理解すべきです。選びやすい理由:深部静脈血栓症は手術一般の合併症として広く知られているため、肝生検後にも起こりうると考えて選択しやすい可能性があります。混同注意:手術一般の合併症。特に、長時間の手術や安静臥床が伴う手術後の合併症。
国試ポイント
肝生検後の合併症として胆汁瘻、出血、気胸、腹膜炎などを理解し、それぞれの特徴と機序を覚える。
混同注意
出血と胆汁瘻はどちらも肝生検後の合併症であり、腹痛や腹部膨満などの症状を示す点で混同しやすいですが、胆汁瘻は胆汁の漏出が主体であり、ドレーンからの排液の色(黄褐色)などで鑑別されます。
次に同じ論点が出たら
肝生検後の腹痛、発熱、腹部膨満、あるいはドレーン排液の性状変化(胆汁様)が示された場合に胆汁瘻を疑って判断します。
関連知識
肝生検の適応(原因不明の肝機能異常、肝疾患の病期診断など)、禁忌(出血傾向、重度の黄疸など)、その他の合併症(出血、気胸、穿孔、感染など)を関連付けて学習するとよいでしょう。