Aさん(52歳、男性、独身)は、銀行員。切除不能の大腸癌と診断され、外来で抗癌薬の点滴静脈内注射を受けることになった。Aさんは「治療を受けながら仕事を続けたいのですが、どうすれば良いか教えてください」と外来看護師に相談した。外来看護師が行うAさんへの助言で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
大腸癌の治療を受けながら仕事を継続したいというAさんの希望に対し、会社の健康管理部門は、治療と仕事の両立支援に関する専門部署であり、休職制度、配置転換、時短勤務など、個別の状況に応じた具体的な相談や調整を行うことができます。これにより、Aさんは安心して治療に専念しつつ、職務を継続するためのサポートを受けることが可能です。
選択肢ごとの解説
- 1. 現在の部署から別の部署への異動は、会社の制度や業務状況に依存し、Aさんの希望を上司個人が安易に判断できるものではありません。また、異動がAさんの治療と両立できる働き方につながるかどうかも不確実です。専門的な部署を介さずに個人で交渉することは適切ではありません。正しくは:会社の健康管理部門へ相談し、治療と仕事の両立支援の専門家を交えて、上司や人事部門と話し合う機会を設けましょう。選びやすい理由:上司に相談することは一見すると直接的で迅速な解決策に思えるため、選びやすいかもしれません。混同注意:個人的な相談と、会社が組織として提供する制度や支援を混同しやすいです。
- 2. 副作用が出始めてから対応を考えるのは遅すぎます。副作用の予測や対策は治療開始前から準備することが重要であり、症状が出てからでは対応が後手に回り、仕事の継続が困難になる可能性があります。正しくは:副作用の出現時期や種類を事前に確認し、仕事への影響を最小限にするための具体的な対策を治療開始前から検討しましょう。会社の健康管理部門とも事前に相談し、制度の利用などを確認しておくことが重要です。選びやすい理由:まだ副作用が出ていないため、具体的な問題が発生してから対処すればよいと考えてしまうかもしれません。混同注意:事前のリスク管理と、問題発生後の事後対応を混同しやすいです。がん治療における仕事と生活の両立には、事前準備が不可欠です。
- 3. 正解。会社の健康管理部門は、従業員の健康管理や疾患の治療と仕事の両立支援に関する専門部署です。Aさんのようなケースでは、治療状況や体調を考慮した働き方(時短勤務、配置転換、休職・復職支援など)について、会社の人事や上司との調整を含め、具体的な助言や支援を行うことができます。これが最も包括的で適切なアプローチです。選びやすい理由:Aさんの希望を最も専門的かつ具体的に支援できる機関であるため、適切だと判断しやすいです。混同注意:特になし。がん患者の就労支援において最も適切な選択肢です。
- 4. 有給休暇は一時的な対応であり、通院での抗がん薬治療という継続的な治療に対しては根本的な解決策にはなりません。有給休暇を全て使い果たしてしまうと、体調不良時の欠勤や緊急時の対応ができなくなり、かえって仕事の継続が困難になる可能性があります。正しくは:有給休暇は、治療による体調不良時や緊急時に備えて温存しつつ、継続的な治療のための通院には、会社の健康管理部門と相談して、治療と仕事の両立支援制度(時短勤務、フレックスタイム制度など)の利用を検討しましょう。選びやすい理由:有給休暇は働く人の権利であり、比較的簡単に利用できるため、手軽な解決策として選びやすいかもしれません。混同注意:一時的な休暇の取得と、病気の長期的な治療と仕事の両立のための制度利用を混同しやすいです。
国試ポイント
がん患者の就労支援の重要性と、そのための社会資源・制度の活用に関する知識が問われています。特に、企業内の健康管理部門や産業医の役割を理解しておくことが重要です。
混同注意
個人的な判断で上司に相談することと、専門部署を通して客観的なサポートを得ることの違いを混同しやすいです。健康管理部門は、患者のプライバシー保護や公平な制度適用を前提に支援を行います。
次に同じ論点が出たら
がん患者が就労継続を希望する状況で、最も適切かつ専門的な支援が得られる選択肢は何か、という視点で判断します。会社内の専門部署や外部の専門機関への相談が最優先となります。
関連知識
治療と仕事の両立支援には、社内の健康管理部門や産業医、人事部門の他、地域連携パス、がん相談支援センター、ハローワークなどの外部機関も活用されます。治療による症状や副作用、通院の状況に応じて、柔軟な働き方(時短勤務、リモートワークなど)の調整も検討されます。