Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症と高血圧症で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。 検査の結果、Aさんは左脳の運動野に脳梗塞を発症していることが分かった。Aさんは3週間の入院治療を経て転院し、2か月間のリハビリテーションを行うことになった。転院先の医療機関に提供する情報で最も優先するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
患者が転院する際、転院先の医療機関がこれまでの治療内容や現在の病状を正確に把握し、適切かつ継続的な医療を提供するためには、前医療機関からの詳細な診療情報が不可欠です。診療情報提供書には、診断名、既往歴、現在の病状、治療経過、内服薬、検査データ、今後の治療方針などが網羅的に記載されており、これが転院先での治療計画立案の基盤となります。他の選択肢は、患者の生活支援や福祉制度利用に関する情報であり、重要ではありますが、医療の継続性という観点では診療情報提供書が最も優先されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。患者が別の医療機関へ転院する際、継続的な医療ケアを円滑に行うためには、これまでの診断、治療経過、現在の状態、薬剤情報などが記載された診療情報提供書(紹介状)が最も重要かつ優先的に提供されるべき情報です。これにより、転院先での適切な治療計画が立てられます。
- 2. 要介護認定の申請書は、介護保険サービスを利用するために必要ですが、リハビリテーション開始時に医療機関間で最も優先すべき情報ではありません。これは主に福祉サービス利用に関するものです。正しくは:要介護認定の申請は、介護保険サービスの利用を検討する段階で必要になります。転院時の医療連携では、まず診療情報提供書が必要です。選びやすい理由:脳梗塞後のリハビリテーションは介護と密接に関わるため、必要性を感じるかもしれませんが、医療機関間の情報連携においては優先度が異なります。混同注意:医療連携と介護サービス連携の区別。
- 3. 医療相談員の相談記録は、患者の社会・経済状況や心理的な問題、退院後の生活支援に関する情報が含まれることがありますが、直接的な医療ケアの継続において診療情報提供書ほど緊急性や優先度が高い情報ではありません。これは付随情報として提供されるべきです。正しくは:医療相談員の記録は患者の全体像を把握する上で有用ですが、治療の継続においては診療情報提供書がより直接的に必要です。選びやすい理由:患者の個別性を理解する上で重要な情報であるため、必要だと感じるかもしれませんが、まず医療情報が優先されます。混同注意:医療的情報と、患者の生活背景や心理社会的な情報との優先順位。
- 4. 使用中の車椅子の機種情報は、リハビリテーションを進める上で有用な情報となる可能性はありますが、患者の病態や治療方針を伝える診療情報提供書に比べると、優先度は低いです。必要に応じて後から確認することも可能です。正しくは:車椅子の機種情報は、リハビリテーションが進む中で、患者の移動手段やADL評価に役立ちますが、緊急の医療情報ではありません。選びやすい理由:リハビリテーションに直接関連する物品であるため、必要性を感じるかもしれませんが、医療情報より優先されません。混同注意:医療継続に必要な情報と、ADLや環境調整に必要な情報の優先順位。
- 5. 身体障害者手帳の申請書は、障害者としての各種サービスを受けるために必要となる書類ですが、転院先の医療機関が医療を行う上で、診療情報提供書よりも優先される情報ではありません。これは主に福祉制度の利用に関するものです。正しくは:身体障害者手帳の申請は、患者の障害が確定し、各種支援制度を利用する段階で必要となります。医療機関間の情報連携では、まず診療情報提供書が必要です。選びやすい理由:脳梗塞による後遺症が予測されるため、必要だと感じるかもしれませんが、医療連携においては優先度が異なります。混同注意:医療連携と障害福祉サービス連携の区別。
国試ポイント
医療機関間の連携において、患者の安全と継続的な医療提供のために最も基本的な情報伝達手段とその優先度を問う問題です。特に、転院時に必要な書類の重要性を理解しているかが問われます。
混同注意
患者の生活を支援する他の情報(介護保険、障害者手帳、社会福祉的な相談記録など)と、医療行為を継続するために不可欠な情報との優先順位が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、まず「医療の継続性」「患者の生命・安全に直接関わる情報」という視点で優先順位を判断し、次に「生活支援」「福祉サービス利用」に関する情報が来ることを意識する。
関連知識
医療連携、地域連携パス、診療情報提供書の目的と内容、医療法における医療機関の協力義務、インフォームドコンセント、個人情報保護。