疫学的因果関係があると判断できるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
疫学における因果関係の判断基準(ブラッドフォード・ヒルの基準など)の一つに『特異性(Specificity)』があります。これは、特定の要因への曝露が特定の疾患の発生にのみ関連する場合、因果関係がより強く支持されるという考え方です。ただし、現代の疫学では特異性は絶対的な基準ではなく、多くの要因が複合的に作用して疾患を引き起こすことも認識されています。しかし、選択肢の中で因果関係を裏付ける要因として最も妥当なものを選ぶ場合、特異性は重要な要素となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 疫学的な因果関係を判断する基準の一つに『整合性』があり、これは生物学的な妥当性や既存の科学的知識と矛盾しないことを意味します。矛盾する場合は因果関係を否定する方向で考えられます。正しくは:特定の要因と疾患の関連性が、生物学的な根拠や知見と整合している。選びやすい理由:一見すると科学的検証のように見えるが、「異なる」という点が誤り。混同注意:整合性(Coherence)の基準と混同しやすい。
- 2. 正解。「特異性(Specificity)」は、疫学的因果関係を判断する上で重要なブラッドフォード・ヒルの基準の一つです。特定の要因が特定の疾患のみを引き起こす、または特定の疾患が特定の要因によってのみ引き起こされる場合に因果関係がより強く支持されます。ただし、現代では必ずしも絶対的な基準ではないとされていますが、重要な指標です。
- 3. オッズ比が1である場合、要因への曝露がないグループと比較して、疾患発生のリスクに差がないことを示します。これは統計学的に関連性がないことを意味し、因果関係を支持しません。因果関係が疑われる場合は、オッズ比は通常1よりも大きいか、小さい値(リスク要因であれば1より大、予防要因であれば1より小)を示します。正しくは:要因への曝露と疾患発生の関連性を示すオッズ比が1より大きい(または小さい)。選びやすい理由:オッズ比という専門用語に惑わされやすいが、その値の意味を理解しているかが問われる。混同注意:相対危険度や寄与危険度などの他の指標と混同しやすい。また、オッズ比が統計的に有意であることと、その値が1から離れていることの意味を混同しやすい。
- 4. 因果関係がある場合、要因への曝露が増えれば疾患の発生も増加するなど、一貫性や用量反応関係が期待されます。散発的であることは、ランダムな事象や他の要因による影響である可能性を示唆し、明確な因果関係を支持しません。正しくは:特定の要因と疾患の関連が一貫して観察される、または用量反応関係が認められる。選びやすい理由:「散発的」という言葉が、特定のケースでのみ観察されることと誤解されやすい。混同注意:関連性の「一貫性(Consistency)」や「用量反応関係(Dose-response relationship)」といった因果関係の基準と混同しやすい。
国試ポイント
疫学における因果関係の判断基準(ブラッドフォード・ヒルの基準)を理解しているかが問われる問題です。特に、それぞれの基準が何を意味し、因果関係をどのように支持または否定するかを把握しておく必要があります。
混同注意
疫学的因果関係の判断基準である「一貫性」「整合性」「時間性」「用量反応関係」「生物学的妥当性」など、他の基準と混同しやすい。また、統計学的関連性と因果関係の違いを理解していないと誤答しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合は、ブラッドフォード・ヒルの基準を全て正確に理解しているか、またそれぞれの基準が因果関係のどの側面を強化するかを問われる可能性があります。特に、統計学的な関連性(オッズ比など)と因果関係の区別、および各基準の具体的な意味を再確認することが重要です。
関連知識
疫学における因果関係の判断基準(ブラッドフォード・ヒルの基準):時間性(Temporality)、一貫性(Consistency)、特異性(Specificity)、用量反応関係(Dose-response relationship)、生物学的妥当性(Biological plausibility)、整合性(Coherence)、実験的証拠(Experimental evidence)、類推(Analogy)。オッズ比、相対危険度、寄与危険度などの関連指標の解釈。