Aさん(90歳、男性)は要介護3となり、長男(60歳)と同居することになった。長男は「親を介護することがこんなに大変だとは思わなかった。親が衰えてつらいと感じるのは自分だけだろうか」と訪問看護師に話した。訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
長男は「親が衰えてつらいと感じるのは自分だけだろうか」と、介護における孤独感や心理的負担を訴えています。このような感情に対して、同じ経験を持つ他の介護者と交流する機会(ピアサポート)を提供することは、共感を得て孤独感を解消し、自身の感情を正常なものとして受け止める助けとなります。また、他の介護者から具体的な情報や対処法を得ることもでき、心理的サポートとして最も適切です。個人情報の保護を考慮して、紹介には相手の了解を得る必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 長男は主に精神的な負担と孤独感を訴えており、介護技術の説明だけではその感情的な側面には対応できません。物理的な介護技術は重要ですが、この時点での長男の訴えに対する最優先事項ではありません。正しくは:まず長男の感情に寄り添い、孤独感を和らげる対応が優先されます。その後、必要に応じて介護技術に関する情報提供を検討します。選びやすい理由:「介護が大変」という言葉から、技術的な問題解決が必要だと感じる受験生がいるかもしれませんが、長男の訴えの核心は心理的なものです。混同注意:介護の身体的負担の軽減と、精神的負担の軽減の区別。
- 2. 一時的な休息(レスパイトケア)は介護者の負担軽減に重要ですが、長男が「つらいのは自分だけか」と訴えている心理的な孤独感や不安には直接応えられません。また、本人の意向を確認せず一方的に外出を促すのは適切ではありません。訪問看護の主たる目的は利用者へのケアであり、介護者の休息は間接的な効果です。正しくは:まず長男の感情を受け止め、休息の必要性があるかを確認した上で、短期入所サービスなど継続的な休息方法を検討することを提案します。選びやすい理由:介護者の休息は非常に重要であるため、一見すると良い選択肢に見えますが、長男の訴えの核心への対応としては不十分です。混同注意:レスパイトケアの重要性と、その具体的な提供方法やタイミング。
- 3. 短期入所サービスは介護者の休息を提供する上で有効な手段ですが、長男が訴えているのは「つらいのは自分だけか」という孤独感や心理的負担です。サービス利用の提案だけでは、その感情に直接的に寄り添うことにはなりません。正しくは:長男の感情に共感を示し、その上で介護負担の軽減策の一つとして短期入所サービスを紹介し、利用の意向を確認します。感情的な支援が先行すべきです。選びやすい理由:介護者の負担軽減策として有効な社会資源の活用であり、適切な対応の一部ではあるため、選びやすい選択肢です。混同注意:社会資源の活用と、介護者の心理的支援の優先順位。
- 4. 正解。長男は「つらいと感じるのは自分だけだろうか」と、介護における孤独感や心理的負担を訴えています。同じ境遇の介護者と交流する機会(ピアサポート)を提供することは、共通の体験を持つことで孤独感を和らげ、感情を共有し、対処法を学び合う場を提供します。これは、長男の訴えに最も直接的に応える支援であり、個人情報の配慮(了解を得て)も明記されており適切です。
国試ポイント
この問題は、家族介護者が抱える心理的負担、特に孤独感や不安に対する訪問看護師の共感的理解と適切な支援方法を問うものです。単なる介護技術の提供や一時的な休息だけでなく、介護者の精神的健康を支えるための社会資源の活用、特にピアサポートの重要性を理解しているかがポイントとなります。
混同注意
介護者の身体的負担に対する支援(介護技術の指導やレスパイトケア)と、精神的・心理的負担に対する支援(共感、孤独感の解消、ピアサポート)を混同しやすいです。介護保険サービスの利用提案も重要ですが、まず介護者の感情に寄り添い、その訴えの核心を理解することが優先されます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の設問が出た場合、まず介護者が何を一番訴えているのか(身体的負担か、精神的負担か、情報不足かなど)を正確に把握することが重要です。その上で、訴えの核心に最も直接的に応えられる選択肢、特に感情的な側面や孤独感に対してはピアサポートや傾聴が有効な支援となることを考慮して判断します。
関連知識
家族介護者のストレスとバーンアウト、介護者の心理的支援、レスパイトケアの重要性、介護保険サービスの種類と利用方法(短期入所生活介護、訪問介護など)、ピアサポートグループの役割、訪問看護師の家族支援の役割。