Aさん(82歳、女性、要介護1)は1人で暮らしている。認知症と診断され、週1回の訪問看護を利用することになった。訪問看護師は、Aさんが調理できなくなったので、配食サービスを導入したと介護支援専門員から情報を得た。初回訪問時に、Aさんは季節外れの服を着ており、今日の日付を答えられなかった。トイレで排泄できている。訪問看護師が収集した情報のうち、手段的日常生活動作〈IADL〉はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
IADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作)とは、ADL(Activities of Daily Living:基本的な日常生活動作)よりも複雑で、社会生活を営む上で必要となる応用的な動作や能力を指します。具体的には、買い物、調理、電話の使用、金銭管理、服薬管理、交通機関の利用、家事などが含まれます。選択肢1の「食事の準備ができないこと」は、これらのIADLの典型的な例です。その他の選択肢は、ADL(排泄)や、ADL・IADLに影響を与える認知機能の低下(見当識障害、判断力低下)を示唆するものであり、IADLそのものではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。調理は、献立の考案、食材の準備、調理手順の実行など、複数の複雑な思考と行動を伴うため、IADL(手段的日常生活動作)に分類されます。単に食事を摂ること(ADL)とは異なり、より高次の生活機能を示します。
- 2. 季節に合わない服装は、着衣というADL自体は行えているものの、見当識や判断力の低下、認知機能の障害を示唆する情報です。着衣自体はADLですが、適切な衣服を選ぶ判断はIADLに直接分類されるわけではありません。正しくは:この情報単体でIADLとは判断できません。ADLである「着替え」は可能だが、判断能力の低下があることを示します。選びやすい理由:「服を選ぶ」という行為は一見複雑そうに見えるため、IADLと誤解しやすいかもしれません。混同注意:ADL(着衣)と、それに影響を与える認知機能(判断力、見当識)とを混同しやすい。
- 3. 排泄は、食事、入浴、着替えなどと同様に、ADL(基本的な日常生活動作)の一つです。これは日常生活を送る上で最も基礎的な身体活動であり、IADLのような手段的な要素は含まれません。正しくは:これはIADLではなく、ADL(日常生活動作)に該当します。選びやすい理由:日常生活における行動であるため、ADLとIADLの区別が曖昧だと選びやすいかもしれません。混同注意:ADLとIADLの定義。
- 4. 日付が答えられないことは、見当識障害と呼ばれる認知機能の低下を示しています。これはIADLやADLといった特定の身体的動作ではなく、思考や記憶、判断といった精神機能に関する情報です。これらの認知機能はADLやIADLの実行に影響を与えますが、それ自体は動作ではありません。正しくは:これはIADLではなく、認知機能(見当識)に関する情報です。選びやすい理由:認知症の症状の一部であるため、IADLと関連があるように感じて選びやすいかもしれません。混同注意:IADLと認知機能低下による症状、あるいはADLに影響を与える認知能力。
国試ポイント
ADL(基本的な日常生活動作)とIADL(手段的日常生活動作)の定義と、それぞれの具体例を区別できるかが問われる問題です。特に、認知症高齢者のアセスメントにおいて、どの情報がどの評価項目に該当するかを正確に理解しておく必要があります。認知機能の低下による症状と、直接的な動作能力を混同しないことが重要です。
混同注意
ADL(基本的な日常生活動作:食事、排泄、入浴、着替えなど)とIADL(手段的日常生活動作:調理、買い物、金銭管理、電話など)の混同。また、認知機能(見当識、判断力など)の低下によって生じる症状と、IADLそのものを混同しやすい点に注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まずADLとIADLの定義を明確に思い浮かべ、提示された情報が「基本的な身体活動」か「社会生活を営むための応用的な活動」か、あるいは「それらの活動に影響を与える認知機能」かを区別します。特に、具体的な動作を伴うものに注目し、その動作の複雑性や応用度を評価することが重要です。
関連知識
ADL(Activities of Daily Living): 日常生活を送る上で最低限必要な動作。食事、排泄、入浴、着替え、移動、整容など。評価尺度としてバーセルインデックスなどが用いられる。IADL(Instrumental Activities of Daily Living): ADLよりも複雑で、より高次な生活機能。家事(調理、掃除、洗濯)、買い物、電話の使用、服薬管理、金銭管理、交通機関の利用など。評価尺度としてLawton & BrodyのIADL尺度などが用いられる。認知症の中核症状: 記憶障害、見当識障害、理解・判断能力の低下、実行機能障害など。これらはADLやIADLに影響を与える。