Aさん(82歳、女性)は、要支援2である。Aさんの屋内での転倒予防と自立の促進のため、自宅で介護する家族への指導で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
高齢者の転倒原因として起立性低血圧による立ちくらみは非常に多いです。移動前にこの確認を促すことは、自身の体調を把握し、転倒リスクを回避する自立的な行動を促す上で極めて重要かつ具体的な指導です。
選択肢ごとの解説
- 1. 自立の促進の観点から、移動能力がある場合はできる限り自身の足で歩くことを促すべきです。車椅子の常用は、活動量の低下や筋力低下を招き、ADLの自立を妨げる可能性があります。正しくは:可能な限り自身の足での移動を促し、必要な場合にのみ移動補助具(歩行器や杖など)の使用を検討する。選びやすい理由:転倒のリスクを考えると、安全な車椅子移動が一番確実だと考えるため。混同注意:安全確保と自立促進のバランスを誤解している。
- 2. スリッパは足にフィットしにくく、かかとが浮きやすいため、段差につまずいたり、滑ったりして転倒のリスクを高めます。室内では、滑りにくく、かかとのある履物や素足が望ましいです。正しくは:滑りにくく、足にフィットするかかとのある室内履きか、素足での移動を推奨する。選びやすい理由:一般的な生活習慣としてスリッパを使用する人が多いため、問題ないと判断してしまう。混同注意:スリッパが転倒リスクになることを認識していない。
- 3. 手すりがない場所での歩行を一律に避けることは、行動範囲を著しく制限し、自立を妨げます。自立を促すためには、安全を確保しつつ、可能な範囲で活動範囲を広げることが重要です。必要に応じて、手すりの設置や歩行補助具の利用を検討すべきです。正しくは:手すりの設置が難しい場所では、歩行補助具の活用や、家族の付き添いによる安全確保を検討し、活動範囲を不必要に狭めないようにする。選びやすい理由:転倒リスクの高い場所での歩行を避けることが安全対策として効果的だと考えるため。混同注意:転倒予防と自立促進のバランスを誤解している。
- 4. 正解。高齢者では起立性低血圧による立ちくらみが生じやすく、これが転倒の主要な原因の一つとなります。移動前に立ちくらみの有無を確認し、あれば少し時間を置いたり、ゆっくり立ち上がったりする習慣をつけることは、転倒予防に非常に有効です。これは自立した行動を促しつつ安全を確保する上で重要な指導です。選びやすい理由:自立を促すためには、自分で危険を察知し対処する能力を養うことが重要だから。混同注意:単なる立ちくらみと、転倒との直接的な関連性を見落とすことがある。
国試ポイント
高齢者の転倒予防と、自立支援のバランスを考慮した指導の適切さを問う問題です。単に安全を確保するだけでなく、生活の質を保ち、できるだけ自分で動けるようにする視点が含まれているかを見極める必要があります。
混同注意
安全確保のための過剰な制限(例:車椅子常用、行動範囲の制限)と、自立促進を両立する現実的な予防策。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、高齢者の転倒予防策が『自立を阻害しないか』という視点で見極めることが重要です。
関連知識
高齢者の転倒リスク因子(身体的要因、環境要因)、起立性低血圧の管理、住環境整備のポイント、歩行補助具の選択と使用方法。