与薬の事故防止に取り組んでいる病院の医療安全管理者が行う対策で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
与薬業務のプロセス全体を見直し、潜在的なリスク要因を特定し、それらを改善するためのシステムを構築することが、最も根本的かつ包括的な事故防止策となります。標準化された手順の確立、チェック体制の強化、情報共有の促進などが含まれます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。与薬業務のプロセス全体を見直すことは、事故の原因となりうる多くのリスクポイントを特定し、組織的・構造的に改善するための根本的な対策です。業務フローの標準化、二重確認の導入、記録の徹底など、システム全体を改善することで再発防止に繋がります。正しくは:与薬業務のプロセスを見直す。選びやすい理由:他の選択肢も重要だが、業務プロセス全体の改善は最も包括的かつ根本的な対策であるため、最も適切といえる。混同注意:個別の対策ではなく、全体的なプロセスに焦点を当てる点が重要。
- 2. 口頭指示は聞き間違いや伝達ミス、記録漏れのリスクが非常に高いため、医療事故の原因になりやすいです。緊急時などやむを得ない場合を除き、原則として文書や電子カルテによる指示が推奨されます。正しくは:医師に口頭指示ではなく、書面または電子カルテによる与薬指示を求める。選びやすい理由:緊急時など、状況によっては口頭指示が必要な場合もあるため、完全に否定しがちではないが、事故防止の観点では不適切。混同注意:緊急性と日常的な安全管理の違いを混同しやすい。日常的な事故防止策としては不適切。
- 3. 各病棟が独自の与薬マニュアルを作成すると、病院全体での基準や手順が統一されず、病棟間での手順のばらつきや職員間の混乱、さらには医療過誤のリスクを高める可能性があります。病院全体で標準化されたマニュアルが必要です。正しくは:病院全体で統一された与薬マニュアルを作成し、周知徹底する。選びやすい理由:マニュアル作成自体は良いことだが、病棟ごとの独自性は問題となる。混同注意:マニュアルの重要性は理解できるが、「病棟ごと」の独自性が問題点であることを見落としやすい。
- 4. インシデントを起こした個別の職員に対する研修も重要ですが、医療安全管理者の役割としては、個人の責任追及に終始せず、再発防止のために組織全体の問題として捉え、システム改善を図ることが優先されます。研修は、個人のスキルアップや意識向上には役立ちますが、根本的な対策とは言えません。正しくは:インシデントの原因を分析し、再発防止のためのシステム改善を行うとともに、全職員対象の研修を企画する。選びやすい理由:個人のスキルアップや再教育も重要であるため、一見適切に見える。しかし、医療安全管理の観点ではシステム全体への働きかけが優先される。混同注意:インシデントへの対応としては誤りではないが、事故防止のための「対策」としては、個人の問題に留まらず、業務プロセス全体に目を向けるべきである。
国試ポイント
医療安全管理者が行うべき対策の優先順位と、組織的・システム的なアプローチの重要性が問われています。個人の責任追及や対症療法的な対策ではなく、根本原因に働きかける介入を選ぶことが重要です。
混同注意
インシデントを起こした職員への研修会(選択肢4)も重要に見えますが、それは個別対応であり、医療安全管理者の役割としてより広範な組織全体への影響を考慮した対策が求められます。
次に同じ論点が出たら
与薬事故防止のために、具体的にどのような業務プロセス改善策が考えられるか、多重チェックの導入、情報の一元化、医療機器の安全設計などについて考察を深める。
関連知識
ヒューマンエラーの分類(スリップ、ラプス、ミステイク)、フェールセーフ、フールプルーフの概念、ハインリッヒの法則、医療事故調査制度。