Aさん(55歳、女性)は、1人暮らし。Aさんには視覚障害があり、光と輪郭がぼんやりわかる程度である。食事の準備や室内の移動は自立している。震度6の地震が発生した。Aさんは、避難所に指定されたバリアフリーの公民館に近所のBさんと避難した。公民館には複数の部屋がある。避難所の開設初日に医療救護班として看護師が派遣された。避難所生活を開始するAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
視覚に障害があるAさんが避難所生活を送る上で、安全かつ自立的に生活できる環境を整えることが重要です。トイレへの移動は頻繁に発生する基本的な行動であり、視覚障害がある場合、その距離が遠いと転倒のリスクが増大し、精神的な負担も大きくなります。そのため、トイレに近い部屋を割り当てることは、Aさんの安全確保、自立支援、そして精神的負担の軽減に繋がり、最も適切な配慮と言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 近隣住民のBさんがAさんの友人であるとしても、BさんをAさんの公式な介助者に指定することは、Bさんの意思確認や負担への配慮なしには適切ではありません。また、Aさんの自立度やニーズを考慮せずに一方的に介助者を割り当てるのは、Aさんの意思を尊重せず、自立を阻害する可能性があります。正しくは:AさんとBさん双方の意向を確認し、必要に応じてサポートの有無や内容について相談する。Bさんがサポートを希望し、Aさんもそれを望むのであれば、その関係性を尊重しつつ、他の支援体制も検討する。選びやすい理由:親しい間柄であれば、自然と手助けし合うと考えるかもしれない。混同注意:近所の人が助けてくれるのは良いことだが、それを看護師が公式に義務付けるべきではないという点。
- 2. 視覚障害のある人に対して、不意に体に触れることは驚きや不安を与える可能性があります。まずは声かけを行い、相手に自身の存在を伝えてから、必要であれば許可を得て触れるのが適切な対応です。正しくは:まずAさんに自身の存在を言葉で伝え、「○○です。今からお声がけしますね」などと声をかけ、Aさんの反応を確認してから、必要に応じてAさんの手や腕に触れて誘導する。選びやすい理由:触れることで存在を知らせようとする行為は、配慮のように見えるかもしれない。混同注意:視覚以外の感覚を刺激することは良いが、その順序が重要であるという点。
- 3. 正解。視覚障害を持つAさんが避難所で生活する上で、トイレへの移動は特に困難が予想されます。トイレに近い部屋を割り当てることで、移動の負担を軽減し、転倒のリスクを減らし、プライバシーの確保にもつながるため、安全で快適な生活を送るための重要な配慮となります。正しくは:この対応は適切です。選びやすい理由:他の部屋の選択肢もある中で、必ずしもトイレに近い部屋が最適とは限らないと考えるかもしれない。しかし、安全性と自立支援の観点から優先度が高い。混同注意:他の生活上のニーズ(例えば静かな環境など)とどちらを優先すべきか迷うかもしれないが、排泄は生活の基本的な部分であり、その自立を支援することは非常に重要。
- 4. 視覚障害のある人を誘導する際は、手を引くのではなく、自分の腕や肩に軽く触れてもらい、ガイドが半歩前を歩くのが適切です。手を強く引く行為は、Aさんのバランスを崩したり、不安を与えたり、転倒のリスクを高めたりする可能性があります。正しくは:移動する際は、Aさんに看護師の腕や肩に触れてもらい、看護師が半歩前を歩き、段差や障害物がある際にはその都度声で伝える。選びやすい理由:誘導のつもりで手を引いてしまうことがあるかもしれない。混同注意:相手を導くという意図は良いが、その方法が相手の自立性と安全性を損なわないものであるべきという点。
国試ポイント
災害時の避難所における要配慮者(特に視覚障害者)への個別支援の原則と具体的な配慮事項が問われています。安全確保、自立支援、尊厳の保持が中心的な概念です。
混同注意
選択肢2「Aさんの肩に触れてから声をかける」は、視覚障害者への配慮のように見えるが、突然の接触は避けるべきという点で誤り。コミュニケーションの順序が重要です。
次に同じ論点が出たら
今後、他の要配慮者(高齢者、乳幼児、妊産婦、慢性疾患患者など)に対しても、同様に個別のニーズに基づいた環境整備や支援計画が求められます。
関連知識
災害看護、要配慮者支援、視覚障害者のADL支援、避難所運営におけるユニバーサルデザインの原則。