胎生期から小児期の血清免疫グロブリン濃度の年齢による変動を図に示す。①が示しているのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下図に示される曲線①は、出生時に最も低い値を示し、その後徐々に増加して思春期頃に成人レベルに達するパターンを示しています。これは、IgAの血清中濃度の年齢による典型的な変動パターンと一致します。IgAは胎盤を通過しないため、出生時には母体からの移行がなく、乳児自身の産生能力が未熟なため低値です。その後、成長とともに産生が活発になり、徐々に増加していきます。一方、IgGは胎盤を通過するため出生時に高値で、IgMは出生後比較的早期に急激に上昇します。IgDは血中濃度が極めて低いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。IgAは出生時は非常に低値ですが、出生後にゆっくりと上昇し始め、およそ生後10歳頃に成人レベルに達します。図中の①は、出生直後に最も低く、その後緩やかに増加していくパターンを示しており、IgAの特徴的な変動と一致します。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:図のカーブを他の免疫グロブリンのカーブと混同しやすいかもしれません。混同注意:IgAは母体からの移行がないため出生時に低く、自己産生が始まるにつれて徐々に増加するという特徴を理解していないと混乱する可能性があります。
- 2. IgDは血清中の濃度が極めて低い免疫グロブリンであり、図に示されるような顕著な濃度変化を示すことは稀です。また、その濃度曲線は通常、IgAやIgMのような明確なパターンとは異なります。正しくは:IgDは血清中に微量しか存在せず、図のような変動パターンは示しません。選びやすい理由:免疫グロブリンの種類を網羅的に考える際に選択肢として挙がりますが、その変動パターンは他のIgとは大きく異なります。混同注意:IgDの機能や血中濃度に関する知識が曖昧だと、他のIgと区別がつきにくくなることがあります。
- 3. IgGは胎盤を通過するため、出生時には母体からの移行により高値を示します。その後、母体由来のIgGは減少し、乳児自身の産生が始まることで再び上昇するという特徴的なV字型のカーブを描きます。図中の①は、出生時に低値であり、このIgGのパターンとは異なります。正しくは:IgGの濃度は出生時に高く、その後いったん低下してから再び上昇するV字型のパターンを示します。選びやすい理由:主要な免疫グロブリンであるため、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:胎盤通過性のあるIgGの変動パターンと、出生後に産生が始まるIgAやIgMのパターンを混同しやすいです。
- 4. IgMは胎盤を通過しないため出生時は低値ですが、胎内で既に産生が開始されていることがあり、出生後すぐに急激に上昇し始め、比較的早期(生後数ヶ月〜1年程度)に成人レベルに達します。図中の①はIgMほど急激な上昇を示しておらず、成人レベルに達するまでの期間もより長い特徴があります。正しくは:IgMは出生後比較的早期に急速に上昇し、成人レベルに達します。選びやすい理由:IgMも出生後に産生が始まるため、低値から上昇するカーブと混同しやすいですが、上昇のスピードが異なります。混同注意:IgAとIgMはどちらも出生時に低値ですが、その後の上昇速度と成人レベルへの到達時期に違いがあるため、両者の違いを正確に把握していないと間違えやすいです。
国試ポイント
この問題は、各免疫グロブリンの胎生期から小児期にかけての血清濃度変動パターンに関する知識を問うものです。特に、胎盤通過性、出生後の自己産生開始時期と速度が、それぞれの免疫グロブリンの濃度曲線にどのように影響するかを理解していることが重要です。
混同注意
IgAとIgMはどちらも出生時に低値ですが、IgMの方がIgAよりも出生後早期に、より急激に濃度が上昇し成人レベルに達するという点で区別が必要です。また、IgGのV字型カーブ(出生時高値→低下→上昇)もよく混同されます。
次に同じ論点が出たら
各免疫グロブリンの機能と、それらの特性が血中濃度にどのように反映されるかを、グラフと関連付けて考えることができるか。
関連知識
免疫グロブリンにはIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があり、それぞれ異なる生理的役割と血中動態を持ちます。IgGは唯一胎盤を通過し、二次免疫応答に関与します。IgAは粘膜免疫の主要な担い手です。IgMは初期免疫応答で産生され、補体活性化能が高いです。IgDとIgEは血中濃度が低く、IgEはアレルギー反応に関与します。