Aちゃん(生後4か月、女児)は、嘔吐とけいれんのため病院を受診した。受診時、Aちゃんは傾眠状態で、顔色不良と眼球上転がみられたため入院となった。受診時の体温は36.8℃であった。四肢は硬直し、数か所の内出血斑があった。大泉門は平坦であったが、次第に膨隆を認めるようになった。このときの頭部CT(別冊No. 2)を別に示す。Aちゃんの所見として考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Aちゃんの症状(嘔吐、傾眠、痙攣、大泉門の膨隆、内出血斑)とCT画像に示された所見(血腫)を総合的に判断すると、硬膜下血腫が最も考えられます。特に乳幼児の内出血斑を伴う硬膜下血腫は、虐待(揺さぶられ症候群など)の可能性を強く示唆する重要な徴候です。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性脳症では意識障害や痙攣が見られますが、内出血斑や大泉門の膨隆、CT画像で確認される血腫は典型的ではありません。正しくは:急性脳症はウイルス感染などにより脳全体が炎症を起こす状態であり、特徴的なCT所見は浮腫や脳のびまん性変化です。選びやすい理由:傾眠や痙攣といった症状は急性脳症でも見られるため、選択肢として考えがちです。混同注意:脳炎、熱性痙攣
- 2. てんかんは反復性の痙攣を特徴としますが、嘔吐、内出血斑、大泉門の膨隆、CT画像で確認される血腫はてんかんの直接的な症状ではありません。正しくは:てんかんは脳の異常な電気活動による発作であり、通常は発作時以外の身体的な損傷は直接引き起こしません。選びやすい理由:痙攣という症状があるため、てんかんを疑う可能性があります。混同注意:熱性痙攣
- 3. 正解。乳幼児の硬膜下血腫は、頭蓋内圧亢進症状(大泉門の膨隆、傾眠、嘔吐)や痙攣、顔色不良、眼球上転を引き起こします。また、多発性の内出血斑は虐待(揺さぶられ症候群など)の兆候であることが多く、これは硬膜下血腫の原因となりえます。CT画像で確認される血腫は硬膜下血腫の典型的な所見です。
- 4. 細菌性髄膜炎では発熱、嘔吐、傾眠、大泉門の膨隆が見られることがありますが、この症例では体温が36.8℃と高くなく、内出血斑やCT画像で確認される血腫は典型的ではありません。正しくは:細菌性髄膜炎の診断には髄液検査が重要で、CTでは脳の浮腫や膿貯留が見られることがあります。内出血斑は稀です。選びやすい理由:発熱以外の症状が類似しているため、選択肢として考えやすいです。混同注意:ウイルス性髄膜炎、脳炎
国試ポイント
乳幼児の頭蓋内疾患、特に虐待を背景とした硬膜下血腫の症状とCT所見を理解しているか問う問題です。傾眠、嘔吐、痙攣といった共通症状から、個別の特徴的な所見(大泉門の膨隆、内出血斑、CT所見)を識別する能力が求められます。
混同注意
急性脳症、てんかん、細菌性髄膜炎はいずれも乳幼児の意識障害や痙攣をきたす疾患であり、鑑別が必要です。それぞれの疾患に特有の症状や検査所見を把握しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、症状と身体所見(特に虐待を示唆する所見)、画像所見(CTやMRI)を総合的に判断できるかがポイントとなります。各疾患の典型的症状に加え、非典型的・特異的な症状を正確に捉えることが重要です。
関連知識
乳幼児の虐待(揺さぶられ症候群、乳幼児揺さぶられ症候群、虐待による頭部外傷)に関する知識。虐待が疑われる際の看護師の役割、報告義務についても関連知識として重要です。また、乳幼児の頭蓋内圧亢進症状のサイン(大泉門の膨隆、活気の低下、嘔吐、不機嫌など)も理解しておく必要があります。