Aさん(32歳、女性)は、営業で外出の多い業務を担当している。1か月前から発熱、倦怠感、関節痛および顔面の紅斑が出現し、近くの医療機関を受診したところ全身性エリテマトーデス〈SLE〉と診断され治療目的で入院した。入院時所見は身長160 cm、体重55 kg。血圧142/80 mmHg。血液検査データは、白血球4,400/μL、血小板17.5万/μL、Hb 12.5 g/dL、クレアチニン2.5 mg/dL、抗核抗体は陽性であった。 入院時のアセスメントで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
高齢者や基礎疾患を持つ入院患者は、加齢による腎血流量の減少や多剤併用、脱水など様々な要因で腎機能が低下している可能性が高く、薬剤選択や輸液管理において重要なアセスメント項目であるため。
選択肢ごとの解説
- 1. 貧血は入院患者によく見られる状態だが、腎機能低下と比較して「入院時のアセスメントとして正しい」という文脈では、より直接的な治療方針への影響度や普遍性が劣る可能性がある。腎性貧血など腎機能低下と関連することもあるが、それ単独で「アセスメント項目」として最も適切とは限らない。正しくは:入院時のアセスメントとして、貧血の有無や程度を評価することは重要である。特にその原因(鉄欠乏性、腎性など)を特定し、治療計画に反映させる。選びやすい理由:貧血は、出血や慢性疾患、栄養状態など様々な要因で入院患者に多く見られるため、アセスメント項目として重要であると誤解しやすい。混同注意:「アセスメント項目として重要」であることと、「最も適切なアセスメント項目」であることの区別。他のより広範な影響を持つ項目がある場合がある。
- 2. 出血傾向は入院患者にとって重要なアセスメント項目だが、入院患者全員に普遍的に当てはまるわけではない。特に高齢者など特定の基礎疾患を持つ患者でリスクが高まるが、腎機能低下のような生理機能の広範な変化とは異なる。正しくは:出血傾向の有無を確認し、もしあればその原因(抗凝固薬使用、血小板減少、肝機能障害など)を評価して、侵襲的な処置や薬剤選択に反映させる。選びやすい理由:抗凝固薬を使用している患者や肝機能障害のある患者では出血傾向が重要な問題となるため、アセスメント項目として適切であると感じやすい。混同注意:特定の患者群で重要なアセスメント項目であることと、一般的な入院患者で優先的にアセスメントすべき項目であることの区別。
- 3. 易感染状態は、免疫抑制剤の使用、糖尿病、栄養不良など特定の要因を持つ患者で重要だが、全ての入院患者に一律に当てはまる最も普遍的なアセスメント項目とは言えない。これも「易感染状態を引き起こす基礎疾患や薬剤の使用状況」をアセスメントする必要がある。正しくは:易感染状態のリスクがある患者(免疫不全、ステロイド治療中、高齢、糖尿病など)を特定し、感染予防策や治療方針に反映させる。選びやすい理由:入院中は感染症のリスクが高まるため、易感染状態をアセスメント項目として重要であると判断しやすい。混同注意:「入院中のリスク」と「入院時にアセスメントすべき普遍的な生理機能の変化」の区別。
- 4. 正解。高齢者を含む多くの入院患者において、腎機能は加齢や基礎疾患、多剤併用、脱水などにより低下していることが多く、薬剤選択(腎排泄性薬剤の用量調整)や輸液管理、合併症管理に直結する非常に重要なアセスメント項目であるため。選びやすい理由:正しい選択肢であるため、医学的知識があれば選びやすい。混同注意:特になし。他の選択肢が部分的に重要に見えるため、相対的な優先順位の判断が求められる。
国試ポイント
入院患者のアセスメントにおいては、特に高齢者に多く見られ、治療方針に大きな影響を与える生理機能の変化や病態を理解することが重要である。
混同注意
単なる疾患の既往歴と、その疾患が現在の生理機能に与える影響(特に腎機能や肝機能)は区別して考える必要がある。腎機能低下は多くの薬剤の代謝・排泄に影響し、有害事象のリスクを高める。
次に同じ論点が出たら
入院患者のアセスメント問題が出題された際は、特に高齢者で問題となりやすい、薬物代謝・排泄に影響する臓器機能(腎機能、肝機能)や、全身状態に影響を与える栄養状態、心肺機能、意識レベルの評価がされているかを確認する。
関連知識
高齢者では、腎機能は加齢とともに低下しやすく、クレアチニン値が正常範囲内でも腎機能が低下している(サルコペニアなどによるクレアチニン産生量の低下のため)ことがあるため、推算GFR(eGFR)を用いるのがより正確である。また、ポリファーマシーにより腎機能に影響する薬剤が複数処方されている場合もある。