Aさん(32歳、女性)は、営業で外出の多い業務を担当している。1か月前から発熱、倦怠感、関節痛および顔面の紅斑が出現し、近くの医療機関を受診したところ全身性エリテマトーデス〈SLE〉と診断され治療目的で入院した。入院時所見は身長160 cm、体重55 kg。血圧142/80 mmHg。血液検査データは、白血球4,400/μL、血小板17.5万/μL、Hb 12.5 g/dL、クレアチニン2.5 mg/dL、抗核抗体は陽性であった。 Aさんはプレドニゾロン60 mg/日のステロイド治療が開始となった。Aさんへの説明で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ステロイド薬の副作用として精神症状(多幸感、不眠、イライラ、抑うつなど)が知られています。患者さんに事前にこれらの可能性を説明し、異常を感じた場合は相談するよう促すことは適切な看護師の説明です。
選択肢ごとの解説
- 1. ステロイド治療中は、食欲増進作用により食べ過ぎてしまうことや、糖尿病や高血圧などの副作用のリスクがあるため、適切な食事管理(塩分、糖分、脂質の制限など)が重要です。食事制限がないとする説明は不適切です。正しくは:「食欲が増すことがありますが、糖尿病や高血圧の予防のため、食事内容には注意が必要です」選びやすい理由:ステロイド治療は直接的な食事制限を課すわけではないという誤解。混同注意:特定の食品を完全に避ける「制限」はないが、コントロールは必要という点で混同しやすい。
- 2. ステロイド薬は自己判断で突然中止すると、急性副腎不全などの重篤な副作用を引き起こす危険性があります。倦怠感は副作用の一つである可能性もありますが、必ず医師の指示に基づいて対応する必要があります。正しくは:「強い倦怠感がある場合は、自己判断で服用を中断せず、すぐに医師や看護師に相談してください」選びやすい理由:副作用がつらい場合は薬を中断したくなるという患者心理を反映しているように見えるため。混同注意:症状緩和のための自己判断での減量・中止と、医療従事者への相談を混同しやすい。
- 3. 正解。ステロイド薬の副作用として、精神症状(多幸感、不眠、イライラ、抑うつなど)が報告されています。気分変動が大きくなる可能性について事前に説明することは適切です。
- 4. ステロイド治療中は免疫力の低下により感染症にかかりやすくなったり、骨粗鬆症のリスクがあるため、活動量や運動の開始には注意が必要です。職場復帰に向けた身体活動は重要ですが、具体的な指示なしに活動を推奨するのは不適切です。特に治療初期や高用量使用時には、過度な運動は避けるべき場合もあります。医師の指示に従うべきです。正しくは:「感染予防のため、人混みを避け、体調に合わせて無理のない範囲で活動しましょう。運動について疑問があれば医師に相談してください」選びやすい理由:リハビリテーションや社会復帰の促進というポジティブな側面があるため。混同注意:治療中の身体活動の必要性と、その際の注意点(感染症、骨折リスクなど)を混同しやすい。
- 5. 抗核抗体は自己免疫疾患の診断マーカーであり、ステロイド治療によって病状が改善しても、抗核抗体が陰性化するとは限りません。陽性のまま経過することも多く、陰性化が治療の直接的な目標となるわけではありません。正しくは:「抗核抗体は自己免疫疾患の指標ですが、治療によって数値が変動しても、必ずしも陰性になるとは限りません」選びやすい理由:病状の改善が検査値の正常化につながるという一般的な認識に基づいているため。混同注意:病勢の指標となる検査値(例:炎症反応)と、診断マーカーとなる検査値(例:抗体)の性質の違いを混同しやすい。
国試ポイント
ステロイド薬の主な副作用とその患者指導について問われています。特に精神症状、代謝異常(糖尿病、脂質異常症)、消化器症状、感染症、骨粗鬆症、満月様顔貌、中心性肥満、ムーンフェイス、副腎不全などが重要です。
混同注意
ステロイド治療中の食事や活動制限、薬の中止に関する指導は、患者の自己判断を促すものと、適切な医療判断を求めるものとで混同しやすい。また、検査値の変動に対する誤った認識も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
この患者がステロイド治療を継続する中で、どのような副作用の早期発見に努め、どのような症状が出た場合に医師に報告すべきか。
関連知識
ステロイド薬の副作用マネジメント、自己免疫疾患(例:SLE)の病態生理、抗核抗体の意義、患者教育。