患者の権利や力を尊重し、自己制御している感覚を持たせ、患者が社会生活に必要な技能や能力を獲得する支援を意味するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
エンパワメントは、個人が自分自身の生活をコントロールし、主体的に行動できるように、その人自身の力や潜在能力を引き出し、高める支援のプロセスを指します。患者の権利と力を尊重し、自己決定を促しながら社会生活に必要な能力の獲得を支援するという記述は、まさにこの概念を説明しています。
選択肢ごとの解説
- 1. リカバリ(Recovery)は、精神疾患から回復し、自分らしい生き方を取り戻すプロセス全体を指しますが、本問の「権利や力を尊重し、自己制御している感覚を持たせ、技能や能力獲得を支援する」という具体的な支援のプロセスや概念とは異なります。リカバリは結果としての状態や広い過程を示すことが多いです。正しくは:リカバリは、精神疾患からの回復過程や、その人らしい人生を再構築する状態を指します。選びやすい理由:精神疾患分野でよく使われる用語なので、関連性があるように感じるかもしれません。混同注意:エンパワメントはリカバリを達成するための一つの手段やアプローチとなり得ますが、リカバリ自体は最終的な状態や広義の過程を指します。
- 2. ストレングス(Strength)は、その人の持つ強みや長所、資源などを指す概念であり、それ自体が「支援」の意味を持つ用語ではありません。エンパワメントの文脈で強みを活用するという側面はありますが、ストレングスそのものが支援を意味するわけではありません。正しくは:ストレングスは、個人が持つ強み、長所、資源、潜在能力を指す言葉です。選びやすい理由:「力を尊重し」という部分から、強みに着目するストレングスの概念と混同しやすいです。混同注意:エンパワメントはストレングスを引き出し、活用することを支援しますが、ストレングスはあくまで「強み」そのものを指します。
- 3. レジリエンス(Resilience)は、困難な状況やストレスに直面した際に、それを乗り越え、適応し、回復する力や精神的な強靭さを指します。これは個人の内的な特性であり、本問で問われている「患者の権利や力を尊重し、技能や能力を獲得する支援」という、他者から提供される支援の概念とは異なります。正しくは:レジリエンスは、逆境や困難な状況からの立ち直る力、回復力を指します。選びやすい理由:困難を乗り越える力や能力と関連するため、前向きな意味合いで選びたくなるかもしれません。混同注意:エンパワメントはレジリエンスを高めるための一つの方法ですが、レジリエンスは「立ち直る力」そのものを指し、エンパワメントは「その力を引き出す支援」を指します。
- 4. 正解。エンパワメント(Empowerment)とは、個人や集団が自分自身の生活をコントロールし、主体的に行動できるように、その人本来が持つ力や潜在能力を引き出し、高める支援のプロセスを意味します。患者の権利や力を尊重し、自己決定を促しながら、社会生活に必要な技能や能力を獲得できるよう支援するという本問の記述は、まさにエンパワメントの概念と一致します。
国試ポイント
精神看護学、特に地域精神看護において重要な概念である「エンパワメント」の定義と、リカバリ、ストレングス、レジリエンスといった関連用語との違いを正確に理解しているかが問われています。これらの用語は混同しやすく、それぞれの意味を明確に区別できることが重要です。
混同注意
リカバリ、ストレングス、レジリエンスといった関連概念と混同しやすい。エンパワメントは、これらのポジティブな側面を促進する「支援プロセス」であると理解することが重要。
次に同じ論点が出たら
今後も、精神看護学や地域看護学の分野で、患者の自立支援に関する概念(例:ピアサポート、アウトリーチなど)や、具体的な支援方法(例:WRAP、IPSなど)の理解を問う問題が出題される可能性があります。それぞれの定義と目的、他の概念との関係性を確認すると良いでしょう。
関連知識
精神保健福祉法、地域包括ケアシステム、患者中心のケア、アドボカシー、自己決定権、ストレングスモデル、リカバリーモデル。