下腿の開放骨折のため手術を受けたA君(8歳、男児)に、術後の疼痛管理のため患者自己調節鎮痛法〈Patient Controlled Analgesia:PCA〉を用いた持続的な静脈内注射を行うことになった。A君は「痛くなるのが怖い」と話している。看護師はA君に鎮痛薬の追加について説明することにした。A君への説明で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
患者自己調節鎮痛法(PCA)は、痛みが本格的に強くなる前に、患者が自ら鎮痛薬を追加投与することで、痛みのコントロールを最適化します。痛みを感じ始めた初期の段階で介入することで、痛みの悪化を防ぎ、全体的な鎮痛効果を高めることが可能です。A君が「痛くなるのが怖い」と訴えていることからも、痛みが強くなる前に対応できるという安心感を与える説明が適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. PCAは患者自身の判断で鎮痛薬を追加投与するシステムであり、決まった時間に機械的に操作するものではありません。患者の痛みの感覚に合わせて使用することが重要です。正しくは:「痛みを感じ始めたら操作ボタンを押そうね」選びやすい理由:子どもにわかりやすいように規則性を提示しようとする考えから誤って選択される可能性がある。混同注意:PCAは持続投与と間欠的追加投与(ボーラス)の組み合わせであり、時間を決めるのは持続投与の速度設定であり、ボーラス投与は患者の判断による。
- 2. 正解。PCAの最も効果的な使用方法は、痛みが強くなる前に、初期の痛みを感じ始めた時点で患者自身が鎮痛薬を追加投与することです。これにより、痛みが最大限になるのを防ぎ、良好な疼痛コントロールが可能になります。A君が「痛くなるのが怖い」と話していることにも配慮した説明です。
- 3. PCAには、鎮痛薬の過量投与を防ぐために、一定時間内に投与できる回数や量が制限されるロックアウト時間が設定されています。「何回でも」という説明は誤解を生み、過量投与のリスクを助長する可能性があります。正しくは:「痛くなったら操作ボタンを押してお薬を追加できるけれど、安全のために一定時間は押してもお薬が出ないようになっているよ」選びやすい理由:子どもの不安を和らげようと安易に「何回でも」と伝えてしまう可能性がある。混同注意:PCAのボーラス投与は患者の判断によるが、安全性確保のためのロックアウト時間があることを理解していないと誤った選択をする。
- 4. 痛みが我慢できなくなるまで待つと、痛みのコントロールが難しくなり、患者の苦痛が増大します。PCAは痛みが軽いうちに対処することで、痛みの悪循環を断ち切り、より少ない薬で効果的な鎮痛を図るのが目的です。正しくは:「痛くなり始めたら操作ボタンを押そうね」選びやすい理由:一般的に痛みを我慢する傾向がある患者に対して、最も強い痛みの時に介入するという発想から誤って選択される可能性がある。混同注意:PCAの適切な使用タイミングは、痛みがピークに達する前であることを理解していないと誤った選択をする。
国試ポイント
患者自己調節鎮痛法(PCA)の原理と適切な使用方法、および患者への説明方法を理解しているか。
混同注意
PCAは患者の裁量に任せるが、安全管理のためのロックアウト時間があることや、痛みが悪化する前の早期対応が重要であることを正確に理解している必要がある。「何回でも」や「我慢できなくなったら」といった表現は誤解や不適切な使用につながる。
次に同じ論点が出たら
PCA導入後の患者アセスメント(疼痛スケール、副作用の有無、操作習熟度)と、必要に応じた説明の再強化や設定の見直し。
関連知識
PCAポンプの構造(持続投与、ボーラス投与、ロックアウト時間)、鎮痛薬の種類(オピオイド鎮痛薬など)、疼痛のアセスメント、小児患者への説明時の配慮。