Aさん(30歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。会社の会議ではいつも寝てしまい、居眠り運転で交通事故を起こしたこともある。笑ったときに脱力してしまうことや、入眠時に誰もいないのに人影が見えたり、睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。最も考えられる疾患はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
設問に挙げられている「日中の過剰な眠気」「笑ったときの脱力(情動脱力発作)」「入眠時の幻覚(入眠時幻覚)」「睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなること(睡眠麻痺)」は、ナルコレプシーの典型的な四徴候です。特に情動脱力発作はナルコレプシーに特異性の高い症状であり、他の睡眠障害との鑑別に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ナルコレプシーの主要な症状である「日中の過剰な眠気」「情動脱力発作(カタプレキシー)」「入眠時幻覚」「睡眠麻痺(金縛り)」がすべて記述されています。特に情動脱力発作は、ナルコレプシーに特異性が高い症状です。
- 2. レム睡眠行動障害は、レム睡眠中に夢の内容と一致する行動(大声の寝言、手足の激しい動き、時に暴力行為など)が現れる疾患であり、設問に記載された日中の眠気、情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺とは症状が異なります。正しくは:レム睡眠行動障害では、夢の内容に合わせて大声で寝言を言ったり、手足を激しく動かしたり、時には夢と現実の区別がつかずに暴力的になることがあります。選びやすい理由:睡眠中の異常行動という点で、睡眠関連の症状を訴える患者の鑑別として一時的に考慮されるかもしれませんが、具体的な症状は異なります。混同注意:睡眠時随伴症の一部であり、夢遊病など他の睡眠中の異常行動と混同しやすいですが、入眠時幻覚や睡眠麻痺とは症状の質が全く異なります。
- 3. 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の呼吸停止や低呼吸により日中の眠気を引き起こしますが、情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺といった症状は通常伴いません。いびきや夜間の覚醒、起床時の頭痛などが主な症状です。正しくは:睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に何度も呼吸が止まることで、日中の強い眠気や集中力の低下、大きないびき、起床時の頭痛などが現れます。選びやすい理由:日中の強い眠気が主訴であるため、最も一般的な過眠の原因疾患として連想されやすいです。混同注意:日中の過眠を主訴とする疾患群として、ナルコレプシーと鑑別が必要ですが、情動脱力発作の有無が重要な鑑別点となります。
- 4. レストレスレッグス症候群は、夕方から夜間にかけて脚に不快な感覚(むずむず感、虫がはうような感覚など)が生じ、動かしたくなる衝動が特徴です。睡眠の開始が困難になったり、睡眠が妨げられたりすることはありますが、設問に記載された日中の過眠、情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺とは直接関連がありません。正しくは:レストレスレッグス症候群では、夕方から夜間にかけて主に脚に不快なむずむず感や虫がはうような感覚があり、その不快感を軽減するために脚を動かしたくなります。選びやすい理由:睡眠に関連する不快な症状を伴うため、睡眠障害の一つとして選択肢に挙げられる可能性がありますが、症状の内容が明確に異なります。混同注意:周期性四肢運動障害など、睡眠中に脚が動く他の疾患と混同しやすいですが、日中の眠気や情動脱力発作とは関連が薄いです。
国試ポイント
ナルコレプシーの主要な臨床症状、特に情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺といった特徴的な症状を理解し、他の睡眠障害と鑑別できるかが問われています。日中の過眠という共通の症状を持つ疾患の中で、より特異的な症状に注目できるかがポイントです。
混同注意
日中の過眠を主訴とする疾患として、睡眠時無呼吸症候群や特発性過眠症、うつ病などによる睡眠障害と混同しやすいです。しかし、情動脱力発作の有無が重要な鑑別点となります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、日中の過眠に加えて、情動脱力発作の有無、入眠時幻覚や睡眠麻痺といったレム睡眠に関連する症状の有無に注目することが重要です。また、他の選択肢に挙げられる疾患の典型的な症状との比較も必要になります。
関連知識
ナルコレプシーは脳内の視床下部で作られる神経伝達物質であるオレキシン(ヒポクレチン)の不足が原因とされています。診断には、睡眠ポリグラフ検査と反復睡眠潜時検査(MSLT)が用いられます。治療としては、生活習慣の改善に加え、覚醒を維持するための薬物療法(モダフィニル、メチルフェニデートなど)や、情動脱力発作やその他のレム睡眠関連症状を抑えるための薬物療法(三環系抗うつ薬、SSRI、SNRIなど)が行われます。