患者とその家族や医療者が患者にとって望ましい治療を探り、お互いが納得する治療を選択できるようにしていくのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
共同意思決定は、医療者と患者・家族が対等な立場で情報を共有し、患者の価値観を尊重しながら、治療方針を共に検討し決定するプロセスです。これは、患者の自己決定権を尊重し、納得のいく医療を実現するために非常に重要な概念です。
選択肢ごとの解説
- 1. 心理教育は、特定の疾患や治療法に関する情報を提供し、患者や家族が病気への理解を深め、対処能力を高めることを目的とします。これは治療方針の選択プロセスそのものではなく、情報提供と理解促進が主な目的です。正しくは:心理教育は情報提供と理解促進が主目的であり、共同で治療を選択するプロセス全体を指す言葉ではありません。選びやすい理由:治療に関する情報提供の一部として行われるため、意思決定と関連があるように感じるかもしれませんが、共同意思決定は情報提供に加えて、患者の価値観や希望の共有、選択肢の比較検討、合意形成までを含むより広範なプロセスです。混同注意:共同意思決定が「情報提供」を包含する概念であるため、混同しやすいです。
- 2. 正解。共同意思決定とは、患者の価値観や希望を尊重し、医療者が専門的知識を提供しながら、患者・家族・医療従事者が対話を通じて最適な治療選択肢を共に検討し、納得の上で最終的な決定に至るプロセスを指します。設問の内容と完全に一致します。
- 3. ストレングスとは、患者が持っている資源や能力、強みに焦点を当て、それを活用して問題解決や目標達成を目指すアプローチや考え方です。これは治療選択のプロセスそのものを指す言葉ではありません。正しくは:ストレングスは、治療方針を決定する際の患者のポジティブな側面や資源を指しますが、意思決定のプロセス全体を意味するものではありません。選びやすい理由:患者の強みを活かすことは、患者中心のケアにおいて重要であり、意思決定をサポートする間接的な要素と捉えられるため、関連があるように感じられるかもしれません。混同注意:患者中心のケアやアドボカシーといった広い概念と混同しやすいです。
- 4. アドヒアランスは、患者が医療従事者と合意した治療方針や服薬指示などを、患者自身が自律的に守り、実行する度合いを指します。これは「治療選択」の後の「治療実行」に関する概念であり、治療を探り選択するプロセスとは異なります。正しくは:アドヒアランスは決定された治療計画の遵守を指し、治療の選択プロセスではありません。選びやすい理由:患者が治療に積極的に関わる姿勢を示す言葉であるため、意思決定の過程と関連があるように見えやすいです。しかし、アドヒアランスは「決定された内容への追従」であり、「決定そのもの」ではありません。混同注意:コンプライアンス(医療側の指示に従う受動的な意味合いが強い)と混同しやすいですが、アドヒアランスは患者の自律性を尊重した上で合意形成された計画への自発的な取り組みを意味します。共同意思決定を経て合意形成された治療計画に対して、患者がどれだけ積極的に関与し実行するかを示す言葉です。
国試ポイント
患者中心の医療や倫理に関する基本概念の理解が問われています。特に「共同意思決定」は、看護師の倫理やコミュニケーション、医療における患者の権利を考える上で頻出のテーマです。各用語の正確な定義と、医療現場での具体的な適用について理解しているかが重要です。
混同注意
心理教育、インフォームドコンセント、コンプライアンスなど、患者と医療者の関わりにおける他の概念と混同されやすいです。共同意思決定は、これらの概念の一部を包含しつつ、より積極的な患者の参加と合意形成に重きを置いたプロセスです。
次に同じ論点が出たら
次回、同様の論点が出た場合、インフォームドコンセントと共同意思決定の違い、または共同意思決定を促進するための看護師の具体的な役割(情報提供、価値観の引き出し、意思決定支援ツールの活用など)について問われる可能性があります。また、終末期医療における意思決定支援(ACPなど)との関連も重要です。
関連知識
インフォームドコンセント:医療者が情報を提供し、患者が理解・同意すること。共同意思決定はさらに患者の希望や価値観を深く掘り下げ、対等な立場で選択するプロセスを含む。自己決定権:患者が自身の身体に関する医療行為について、最終的な決定を下す権利。共同意思決定はこの権利を尊重し支援するプロセス。患者中心の医療:患者を単なる病気の対象ではなく、一人の人間として尊重し、その人らしい生き方を支援する医療のあり方。