腹圧性尿失禁のケアとして適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみ、重い物を持ち上げるなど、腹部に圧力がかかった際に尿が漏れてしまう状態です。主な原因は骨盤底筋群の機能低下です。そのため、骨盤底筋群を強化するトレーニングが最も基本的なケアとなります。また、膀胱に尿が貯留している量が多いほど、腹圧がかかった際に漏れやすくなるため、尿意を感じたら早めに排尿することで、尿漏れのリスクを軽減できます。選択肢2と5がこれに該当します。
選択肢ごとの解説
- 1. 下腹部の保温は、切迫性尿失禁や膀胱炎の症状緩和には有効な場合がありますが、腹圧性尿失禁の直接的なケアとしては関連性が低く、根本的な解決にはなりません。正しくは:この選択肢は腹圧性尿失禁の直接的なケアとは言えません。選びやすい理由:体を温めることは健康に良いという一般的なイメージから選んでしまう可能性がありますが、腹圧性尿失禁のメカニズムには直接作用しません。混同注意:切迫性尿失禁と混同し、冷えが尿意を誘発すると考えるかもしれません。
- 2. 正解。骨盤底筋群の強化は、腹圧がかかった際に尿道の閉鎖力を高め、尿失禁を予防するために最も有効な方法の一つです。腹圧性尿失禁の基本的な治療・ケアとなります。正しくは:この選択肢は腹圧性尿失禁の基本的なケアであり、適切です。選びやすい理由:骨盤底筋群訓練は継続が必要なため、即効性がないと感じて他の選択肢を選びたくなるかもしれません。混同注意:正しいとは理解しつつも、他のケア方法との優先順位を迷う可能性があります。
- 3. 水分摂取を控えすぎると尿が濃縮され、膀胱刺激により症状が悪化する場合がありますが、積極的な「定期的な水分摂取」を促すことは、尿量を増加させ、かえって尿失禁のリスクを高める可能性があります。適切な水分摂取量は個々で異なり、利尿作用のある飲料を避けるなどの指導が重要です。正しくは:水分摂取は過度な制限も過度な促進も適切ではなく、適量を指導すべきです。利尿作用のある飲料を避ける指導が適切です。選びやすい理由:水分摂取は健康維持に重要という一般的な知識から、一見正しいように感じますが、腹圧性尿失禁においては状況に応じた指導が必要です。混同注意:尿路感染症予防のための水分摂取や、脱水予防と混同する可能性があります。
- 4. 恥骨上部の圧迫は、排尿困難時に残尿感を減らすために行われることがありますが、腹圧性尿失禁は尿が漏れてしまう状態であり、この方法で尿漏れを止める効果はありません。むしろ膀胱に圧力をかけ、尿漏れを悪化させる可能性もあります。正しくは:この選択肢は腹圧性尿失禁のケアとしては不適切です。残尿がある場合や排尿困難時に用いる手法であり、尿失禁の治療にはなりません。選びやすい理由:排尿に関わる部位への介入として、何らかの効果があるように思えてしまうかもしれません。混同注意:排尿促進や残尿軽減の手法と混同する可能性があります。
- 5. 正解。これは切迫性尿失禁に対する行動療法の一つである「トイレトレーニング」の要素であり、腹圧性尿失禁では、尿意を感じる前に漏れることが多いですが、膀胱に尿が溜まっている状態で腹圧がかかると漏れやすいため、早めに排泄することは有効です。特に切迫性尿失禁の併発や、尿意切迫感を伴う場合にも有効です。正しくは:この選択肢は腹圧性尿失禁のケアの一つとして適切です。選びやすい理由:この方法は切迫性尿失禁へのケアとして有名であるため、腹圧性尿失禁にも有効か判断に迷うかもしれません。混同注意:切迫性尿失禁のケアと捉えがちですが、腹圧性尿失禁においても、膀胱の貯留量が少ない状態で排尿することで、腹圧による漏れのリスクを減らすことができます。
国試ポイント
腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の鑑別と、それぞれの病態に応じた適切なケア方法の理解が問われています。特に骨盤底筋群訓練は、腹圧性尿失禁の中心的ケアであることを覚えておく必要があります。また、水分摂取や排尿行動の指導は、状況によって効果が異なるため、注意が必要です。
混同注意
腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁のケアが混同しやすい。例えば、トイレに間に合うように急いで行くこと(5)は切迫性尿失禁へのケアとして有名だが、腹圧性尿失禁にも有効な場合がある点に注意。下腹部保温は切迫性尿失禁に効果がある場合があるが、腹圧性尿失禁には直接関係がない。
次に同じ論点が出たら
腹圧性尿失禁の患者に対して、骨盤底筋群訓練の具体的な指導方法や、日常生活での注意点(排便時のいきみ方、咳の仕方など)をどのように説明するかを判断する。
関連知識
女性の尿失禁では腹圧性尿失禁が最も多く、出産経験や加齢がリスク因子となる。骨盤底筋群は膀胱、子宮、直腸を支え、尿道や肛門を閉める役割を持つ。生活指導としては、肥満の解消、便秘の予防、重いものの持ち上げ方指導なども重要。