Aさん(82歳、男性)は、妻(75歳)と2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1。日中は車椅子に座っていることが多い。Aさんの仙骨部に発赤があるのを発見したため、訪問看護師は妻にAさんへの介護方法を指導することにした。妻に指導する内容で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
仙骨部に発赤がある場合、その部位への持続的な圧迫が原因である可能性が高いです。車椅子に長時間座っている患者に対しては、定期的に体重を移動させたり、座り直したり、お尻を浮かせたりすることで、圧迫を一時的に解除し、血流の再開を促すことが褥瘡の悪化を防ぎ、改善を促す上で非常に重要です。この声かけは、患者自身にできる範囲での自立的な除圧行動を促すことにもつながります。
選択肢ごとの解説
- 1. 発赤がある皮膚をマッサージすると、すでに損傷が始まっている組織にさらなる摩擦や圧迫が加わり、症状が悪化する危険性があります。褥瘡予防としてマッサージが推奨される場合もありますが、発赤がある場合は禁忌です。正しくは:発赤がある場合は、その部位への刺激を避け、圧迫を除去することを優先します。選びやすい理由:血行促進が褥瘡予防に良いという一般的な知識から選びやすいですが、発赤はすでに皮膚損傷の兆候であり、マッサージは逆効果です。混同注意:健常な皮膚への血行促進マッサージと、発赤がある皮膚へのマッサージを混同しやすいです。
- 2. Aさんは日中のほとんどを車椅子で過ごしており、仙骨部の発赤は座位での圧迫によるものと考えられます。夜間の体位変換を2時間ごとに行うことは75歳の妻の負担が大きく、日中の座位での除圧(時々お尻を持ち上げる)を優先します。正しくは:夜間の体位変換は、患者の安眠を妨げない範囲で、概ね2時間おきを目安に実施し、必要に応じて除圧用具の使用も検討します。選びやすい理由:頻繁な体位変換が褥瘡予防に重要であるという知識から、より頻度が高い方が良いと考えてしまいがちです。混同注意:体位変換の重要性と、その適切な頻度を混同しやすいです。過剰な頻度はかえって負担になります。
- 3. 正解。車椅子に座っている時間が長い場合、定期的に体重を移動したり、お尻を少し浮かせたりすることで、仙骨部への持続的な圧迫が一時的に解除され、血流の改善が促されます。これは褥瘡予防に非常に効果的な方法です。正しくは:正しい選択肢のため、修正の必要はありません。選びやすい理由:特別な器具を使用しない簡単な方法であるため、効果が低いと感じるかもしれませんが、日常生活の中で継続しやすい重要な介入です。混同注意:座位での除圧の重要性を見落としがちですが、簡単な動作でも効果があります。
- 4. ドーナツ型クッション(円座)は、穴の部分に仙骨部が集中して圧力がかかりやすくなるため、かえって仙骨部の血流障害を悪化させ、褥瘡を発生・悪化させる危険性があります。適切なのは、体圧分散効果のあるクッションです。正しくは:車椅子に座る際は、仙骨部への圧力を分散させる効果がある、体圧分散型クッションを使用するよう指導します。選びやすい理由:穴が開いていることで圧迫が減ると誤解されやすいですが、穴の縁に圧力が集中します。混同注意:「穴がある=除圧」という誤ったイメージと、体圧分散クッションの正しい機能を混同しやすいです。
国試ポイント
褥瘡予防における基本的な看護介入の知識、特に体位変換や体圧分散に関する誤解されやすいポイントが問われています。発赤がある皮膚へのマッサージの禁忌、夜間体位変換の現実的な頻度、円座の使用によるリスク、そして座位での除圧の重要性が理解できているかを確認する問題です。
混同注意
褥瘡予防のための一般的な介入(マッサージや体位変換)が、特定の状況(発赤がある場合や頻度)において不適切になること。また、見た目だけで判断しがちな円座の誤用。
次に同じ論点が出たら
同様の褥瘡問題が出た場合、まず患者の状態(発赤の有無、活動レベル)を確認し、その状態に応じた適切な介入(圧迫除去、体圧分散、体位変換の頻度、栄養管理)を選択できるか、特に禁忌事項を理解しているかを確認します。また、介護者の負担も考慮した現実的な介入策が求められます。
関連知識
褥瘡の発生要因(圧迫、摩擦、ずれ)、NPUAP/EPUAPの国際的な褥瘡分類(発赤はステージ1)、体圧分散マットレスやクッションの種類と効果、体位変換の目的と方法、患者・家族への指導内容。