Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折と診断され、入院した。 Aさんは入院後7日で退院し、介護老人保健施設に入所した。現在はリハビリテーションを行っている。退所後の再転倒を予防するためのAさんへの指導で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
足関節の底背屈運動は、足関節の可動域を維持・向上させ、下腿の筋力強化に繋がります。これにより、歩行時の安定性が高まり、つまずきやバランスの崩れによる転倒のリスクを低減することができます。特に高齢者において、足関節の柔軟性と筋力は転倒予防に不可欠な要素です。
選択肢ごとの解説
- 1. 転倒予防のためには活動性を制限するのではなく、安全に活動できる範囲を広げることが重要です。家の中だけでなく、安全な屋外活動も転倒予防に寄与します。正しくは:安全に活動できる範囲を広げ、適切な運動を継続するよう促す。選びやすい理由:転倒のリスクを減らすため、活動範囲を狭めることが直接的な対策のように見える。混同注意:活動制限とリスク軽減を混同しやすい。活動制限は筋力低下を招き、かえって転倒リスクを高める可能性がある。
- 2. 歩幅を小さくしすぎると、かえってバランスが不安定になったり、つまづきやすくなったりすることがあります。一般的には、安定した歩行には適切な歩幅が必要です。正しくは:重心の移動を意識し、安定した歩行を心がけるように指導する。または、歩行時に足元をよく見て、障害物を避けるよう指導する。選びやすい理由:転倒を恐れてゆっくり歩くイメージから、歩幅を小さくすると安全に感じるかもしれない。混同注意:小股歩行が常に安全とは限らないことを理解していない可能性。バランス保持には適度な歩幅や重心移動が重要である。
- 3. 正解。足関節の底背屈運動は、足首の柔軟性と可動域を維持・向上させ、足の甲やふくらはぎの筋力を強化します。これにより、歩行時のつまずき防止やバランス能力の改善に繋がり、転倒予防に効果的です。選びやすい理由:リハビリテーションの一環として、具体的な運動指導が重要であるため。混同注意:他の運動との優先順位を迷うかもしれないが、足関節の運動は直接的に歩行時の安定性に関わるため重要。
- 4. 睡眠薬は副作用としてふらつきやめまいを引き起こす可能性があり、特に高齢者の転倒リスクを高めることが知られています。安易な睡眠薬の使用は推奨されません。正しくは:睡眠の質を向上させるため、規則正しい生活習慣や快適な睡眠環境を整えるよう指導する。睡眠導入剤が必要な場合は、医師と相談の上、最小限の使用にとどめる。選びやすい理由:高齢者にとって睡眠の確保は重要であり、睡眠薬がその助けになると考えがち。混同注意:睡眠の重要性と、睡眠薬の副作用による転倒リスクを混同しやすい。睡眠薬は転倒リスク要因の一つである。
国試ポイント
高齢者の転倒予防に関する具体的な指導内容と、その医学的根拠を問う問題です。安易な活動制限や薬物療法ではなく、身体機能の維持・向上に焦点を当てたリハビリテーション的視点での選択肢が正答となる傾向があります。
混同注意
転倒予防策として、活動制限や薬物療法など、一見効果があるように見えるが、実際にはリスクを高めたり、根本的な解決にならない選択肢と混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、高齢者の転倒予防における「活動性と身体機能の維持・向上」という視点から、具体的な運動指導や環境整備に関する選択肢に注目します。一方で、活動制限や薬剤の安易な使用を促す選択肢は誤りである可能性が高いと判断します。
関連知識
高齢者の転倒予防には、筋力トレーニング(特に下肢)、バランス訓練、柔軟性運動、視機能の改善、住宅環境の整備、多剤併用の見直しなどが総合的に重要です。睡眠薬や向精神薬の一部は転倒リスクを高めるため、その使用には注意が必要です。