Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折と診断され、入院した。 入院後2日。Aさんは日中、ベッドで横になってテレビを観ていることが多い。Aさんが尿意を訴えたため、看護師が付き添ってトイレに行くことになった。移動の方法として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
長期臥床後の急な体位変換は、起立性低血圧やふらつきのリスクを高めます。ベッドサイドで座位をとることで、循環動態を安定させ、身体の平衡感覚を再調整する時間を確保し、安全に立ち上がるための準備ができます。特に、入院中の患者は活動量が低下しており、廃用症候群による筋力低下や身体機能の低下があるため、段階的な移動が重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 片腕のみに強い力をかけさせることは、転倒や肩関節への過度な負担につながる可能性があり、安全かつ適切な起き上がり方法とは言えません。身体全体を使った起き上がりを促し、必要に応じて介助すべきです。正しくは:両腕や体幹を使い、患者の力に合わせてゆっくりと起き上がるように促す。必要であれば看護師が体幹を支えるなど介助する。選びやすい理由:患者自身に起き上がりの努力を促すことは一見良いことのように思えるが、片腕に限定するのは不適切。混同注意:自立を促すことと、適切な介助の判断。部分的な自立支援と安全な全体的介助。
- 2. 正解。長期臥床後の急な立ち上がりは起立性低血圧を引き起こしやすいため、ベッドサイドで一度座ることで、循環が安定する時間を与え、めまいやふらつきを予防できます。これは安全な移動のための重要なステップです。
- 3. 骨折部の痛みがあるにもかかわらず歩行を促すことは、痛みの増強、骨折部の悪化、転倒のリスクを高める行為であり、患者の安全を著しく損ないます。痛みを伴う移動は避けるべきです。正しくは:骨折部に痛みがある場合は、歩行を中止し、車椅子やポータブルトイレの使用を検討するなど、患者の安全と安楽を最優先した方法で排泄介助を行う。選びやすい理由:自力での移動を促すことがリハビリにつながると誤解し、痛みを伴う状況でも歩行を推奨してしまう。混同注意:早期離床の重要性と、痛みの管理および安全確保の優先順位。
- 4. ベッドの高さは、腰掛けたときに患者さんの足底全体が床にしっかり着く程度に調整するのが適切です。つま先が軽く触れる程度では足が不安定になり、立ち上がりの際に力が入りにくく、転倒のリ剣があります。正しくは:ベッドの高さは、腰掛けたときに患者さんの足底全体が床にしっかり着き、膝が90度に曲がる程度に調整する。選びやすい理由:足が床につくことを重視するあまり、適切な高さの基準を誤解してしまう。混同注意:足が床につくことと、足底全体が安定して接地できる適切な高さ。車椅子のフットレストの高さ調整などと混同。
国試ポイント
長期臥床患者の体位変換時の安全管理と起立性低血圧の予防方法を理解する。
混同注意
急いで移動させることと、患者の安全を優先した段階的な移動。特に、尿意切迫感がある場合でも、安全を最優先すること。
次に同じ論点が出たら
患者の長期臥床の有無、身体活動レベル、既往歴、現在のバイタルサインを確認し、安全な移動計画を立てる必要があるか。
関連知識
起立性低血圧の定義、症状(めまい、ふらつき、失神)、原因(循環血液量減少、自律神経機能低下、薬剤の影響)、対処法(急な体位変換の回避、弾性ストッキングの着用、水分補給)。廃用症候群の予防と看護。