Aちゃん(3歳、女児)は、父親(会社員)と母親(会社員)との3人暮らし。Aちゃんは、生後11か月のときに、卵による食物アレルギーと診断され、医師の指示で卵の除去食療法をしていた。保育所では卵を除去した給食が提供されている。Aちゃんは保育所の給食の時間に、隣の席の園児の卵が入ったおかずを摂取し、蕁麻疹と咳嗽が出現した。保育士に連れられて救急外来を受診した。Aちゃんは保育士に抱っこされ、「かゆい」と訴えており、咳込みがみられた。 受診時に観察する項目で優先度が高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
受診時の初期観察では、患者の緊急度を迅速に判断し、生命維持に直接関わる異常がないかを確認することが最優先されます。心拍数は、循環器系の機能を示す最も重要なバイタルサインの一つであり、ショック、心停止、重度の不整脈など、生命を脅かす状態の早期発見に不可欠です。これに対し、体温は発熱の有無を示しますが、心拍数ほど即座の緊急性判断には直結しません。腸蠕動音や蕁麻疹の範囲は、それぞれ消化器系や皮膚の状態を示すものであり、特定の症状がある場合には重要ですが、初期の緊急度判断における優先度は心拍数よりも低いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 体温は重要なバイタルサインですが、心拍数や呼吸数と比較して、緊急性の判断における優先度は低いことが多いです。発熱が生命に直結する状況は限定的です。正しくは:緊急性の高い状態では、体温よりも生命維持に直接関わる心拍数や呼吸数を優先します。選びやすい理由:発熱はよくある症状であり、体温測定は基本的な処置であるため、重要に見えやすいです。混同注意:バイタルサインとしての重要性は認識されやすいが、その中でも優先度が問われている点を見落とすと誤りやすいです。
- 2. 正解。心拍数は、循環動態の指標であり、心停止、ショック、重度の不整脈など、生命に直結する緊急性の高い状態を迅速に判断するために最も重要なバイタルサインの一つです。特に受診時で患者の状態が不明な場合、まず循環器系の状態を確認することが優先されます。
- 3. 腸蠕動音は消化器系の状態を示す指標であり、腹部症状の評価には有用ですが、受診時の初期観察として心拍数などの生命維持に直結するバイタルサインよりも優先度は低いです。緊急性の判断には直接結びつきにくいです。正しくは:腸蠕動音は腹部診察の一環であり、循環・呼吸状態の確認後に実施されます。選びやすい理由:腹痛などの訴えがある場合は重要に見えるかもしれませんが、すべての受診患者における初期観察の最優先事項ではありません。混同注意:特定の症状(例:腹痛)がある場合に重要となる項目と、あらゆる患者における初期の緊急度判断の項目を混同しやすいです。
- 4. 蕁麻疹の範囲の確認は皮膚症状の評価には重要ですが、アナフィラキシーショックなど、重篤なアレルギー反応を疑う場合を除き、生命に直結する緊急度は低いです。受診時の初期観察としては、心拍数などのバイタルサインの確認が優先されます。正しくは:蕁麻疹の範囲は、アレルギー反応の評価や治療効果の判定に役立ちますが、生命維持に関わる最優先の観察項目ではありません。ただし、気道浮腫や呼吸困難を伴う場合は、緊急性が高まります。選びやすい理由:アレルギー反応の兆候として注意を引くかもしれませんが、それが全身状態の緊急度を測る最も直接的な指標ではありません。混同注意:皮膚症状そのものと、それが引き起こす可能性のある全身性のアレルギー反応(アナフィラキシーなど)の緊急度を混同しやすいです。
国試ポイント
国家試験では、受診時の初期対応や緊急度の判断に関する知識が頻繁に問われます。特に、バイタルサインの重要度とその優先順位を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
バイタルサインのそれぞれの重要性は理解しやすいものの、その中でも『優先度』が問われた際に、どの指標が最も生命維持に直結するかを判断する点で混乱しやすい。特に、一般的な重要性と緊急時における優先度を区別する能力が求められる。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、まず「生命維持に直結する機能」は何かを考え、次に「その機能を評価する最も直接的で迅速な指標」は何かを判断する。特に緊急時は、ABC(Airway, Breathing, Circulation)の原則が適用できるかを検討する。
関連知識
ABCD評価(Airway, Breathing, Circulation, Disability)、JATEC、ACLS、BLSといった救急蘇生の基本原則における優先順位。バイタルサイン(心拍数、呼吸数、血圧、体温、意識レベル、SpO2)の正常値と異常時の臨床的意義。