胃癌の胃切除術後5年ほどで欠乏し貧血を起こさせるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
胃全摘術後には、ビタミンB12の吸収に必須な内因子が胃粘膜から分泌されなくなります。これにより、ビタミンB12が欠乏し、巨赤芽球性貧血を引き起こします。体内に蓄えられたビタミンB12が使い果たされるまでに数年かかるため、術後すぐに症状が現れるのではなく、数年経過後に発症することが特徴です。
選択肢ごとの解説
- 1. ビタミンAは脂溶性ビタミンであり、主に視覚機能、皮膚・粘膜の健康、免疫機能に関与します。胃切除術後の欠乏症として直接貧血を引き起こすことは稀です。正しくは:ビタミンAは脂溶性ビタミンであり、欠乏しても通常貧血は引き起こしません。選びやすい理由:ビタミン欠乏症という点では選択肢になりえますが、貧血とは直接結びつきにくいです。混同注意:胃切除と特定の栄養素吸収障害の関連が曖昧だと迷うかもしれません。
- 2. ビタミンB1(チアミン)は糖質代謝に関与し、欠乏すると脚気やウェルニッケ脳症などを引き起こしますが、貧血の直接的な原因とはなりません。正しくは:ビタミンB1は糖質代謝に関与し、貧血とは直接的な関連が薄いです。選びやすい理由:ビタミンB群の一種であるため、他のB群との混同が生じる可能性があります。混同注意:ビタミンB群全体が貧血と関連するという誤解から選んでしまうかもしれません。
- 3. 正解。胃切除術後は、ビタミンB12の吸収に必要な内因子が胃粘膜から分泌されなくなるため、ビタミンB12が欠乏しやすくなります。ビタミンB12欠乏は、巨赤芽球性貧血を引き起こします。数年後に症状が現れるのは、体内に蓄積されたビタミンB12が消費されるまでに時間がかかるためです。
- 4. ビタミンCはコラーゲン生成や抗酸化作用に関与し、欠乏すると壊血病を引き起こします。鉄の吸収を促進する働きはありますが、直接貧血の原因となることは稀であり、胃切除術との直接的な関連で数年後に欠乏して貧血を起こすという典型的状況ではありません。正しくは:ビタミンCは鉄の吸収を助けますが、直接貧血の原因となることは少なく、胃切除術後の直接的な貧血原因ではありません。選びやすい理由:鉄の吸収に関与するため、貧血と関連があるように見えるかもしれません。混同注意:鉄欠乏性貧血と巨赤芽球性貧血の区別がついていないと誤解しやすいです。
- 5. ビタミンKは血液凝固に関与し、欠乏すると出血傾向が見られます。貧血を引き起こすのは出血による二次的なものであり、ビタミンKの直接的な欠乏が数年後に貧血を引き起こすものではありません。また、胃切除術によってビタミンKの吸収が特異的に阻害されるわけではありません。正しくは:ビタミンKは血液凝固に関与し、貧血とは直接的な関連が薄いです。選びやすい理由:出血傾向によって貧血を連想する可能性がありますが、原因が異なります。混同注意:出血による貧血と造血機能に関わる貧血の区別が曖昧だと迷うかもしれません。
国試ポイント
胃切除術後の合併症、特にビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血の発症機序と時期を理解しているかが問われています。内因子の役割と、ビタミンB12の体内貯蔵期間がポイントです。
混同注意
鉄欠乏性貧血と巨赤芽球性貧血の鑑別、またビタミンB群の他のビタミン(例: 葉酸)との関連性が混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
胃切除術後の患者の血液検査データ(MCV、網状赤血球数など)が提示された場合、どの型の貧血かを判断できるか。
関連知識
巨赤芽球性貧血の原因(ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏)、症状(貧血症状、神経症状)、診断(末梢血塗沫、血清ビタミンB12値、葉酸値)、治療(ビタミンB12補充)。胃の解剖生理(内因子の産生部位)。