Aさん(25歳、男性)は、オートバイの単独事故による交通外傷で救急病院に入院した。外傷部位は左上下肢で、左脛骨骨折に対しては長下肢ギプス固定をした。左前腕部は不全切断で、再接着術が行われた。 入院後3日、左足趾のしびれと足背の疼痛を訴えた。看護師の観察で適切なのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
足趾のしびれと足背の痛みは、血流障害や神経障害を強く示唆する症状です。したがって、足背の皮膚色の観察によって血流状態を評価し(選択肢2)、足趾の屈伸運動の確認によって神経・運動機能を評価することは(選択肢3)、原因特定と重症度判断に不可欠な初期観察です。これらはどちらも非侵襲的で看護師が自律的に行える観察項目であり、患者の状態を正確に把握するために重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 膝窩動脈は下肢全体の血流を評価するが、足趾のしびれや足背の痛みという局所的な症状に対し、より直接的な足背動脈や後脛骨動脈の触知が優先される。正しくは:足背動脈や後脛骨動脈を触知する。選びやすい理由:下肢の血流評価の一部であるため、選択肢として自然に思える。混同注意:末梢の血流評価全般と、より具体的な観察部位の特定。
- 2. 正解。皮膚の色(蒼白、チアノーゼ、発赤など)は、血行障害や炎症の有無を視覚的に判断する重要な指標であり、足趾のしびれや足背の痛みの原因を探る上で必須の観察項目である。
- 3. 正解。足趾の運動機能の確認は、神経麻痺や筋損傷の有無を評価するために重要である。しびれや痛みは神経症状と関連が深いため、運動機能の評価は必須の観察項目である。
- 4. フォルクマン拘縮は、前腕のコンパートメント症候群による筋肉の虚血性壊死で起こるもので、症状の部位(左足趾のしびれと足背の痛み)とは異なる。正しくは:下肢のコンパートメント症候群や深部静脈血栓症の可能性を考慮する。選びやすい理由:拘縮という言葉から、神経や筋肉の異常を連想させるため。混同注意:上肢のコンパートメント症候群(フォルクマン拘縮)と下肢のコンパートメント症候群。
- 5. ギプスを勝手に切断する行為は看護師の判断で行うべきではなく、医師の指示が必要である。ギプスが原因で浮腫や神経圧迫が疑われる場合は、まず医師に報告し指示を仰ぐのが適切である。正しくは:ギプスによる圧迫がないかを確認し、必要であれば医師に報告して指示を仰ぐ。選びやすい理由:ギプスによる圧迫が症状の原因である可能性を考えるため。混同注意:看護師の判断で行える範囲と、医師の指示が必要な医療行為の区別。
国試ポイント
下肢の末梢神経・血管障害に関する基本的なアセスメント能力を問う問題です。特に、しびれや痛みといった症状から、どのような身体所見を観察すべきか、また、看護師の判断で実施できる観察と医師への報告・指示が必要な介入の区別が重要になります。
混同注意
末梢の血流評価として膝窩動脈の触知も考えられますが、足趾・足背という局所症状に対しては、より末梢の足背動脈や後脛骨動脈の触知が直接的です。また、ギプスに関する対応は看護師の判断範囲を超えないかを確認する必要があります。
次に同じ論点が出たら
この問題で誤答した場合は、末梢神経・血管障害の症状と身体所見の関連性、および看護師の役割と責任範囲について再度確認が必要です。特に、5P(痛み、蒼白、脈なし、しびれ、麻痺)のような、末梢の循環・神経障害を示す兆候に関する知識を深めることが重要です。
関連知識
末梢神経障害の症状(しびれ、知覚鈍麻、運動麻痺)、末梢動脈疾患の症状(間欠性跛行、冷感、皮膚色変化)、コンパートメント症候群の症状(激しい痛み、しびれ、運動障害)。ギプスの観察項目(5P:Pain, Pallor, Pulselessness, Paresthesia, Paralysis)。