Aさん(25歳、男性)は、オートバイの単独事故による交通外傷で救急病院に入院した。外傷部位は左上下肢で、左脛骨骨折に対しては長下肢ギプス固定をした。左前腕部は不全切断で、再接着術が行われた。 入院後6日、左前腕部の接着部から末梢側が壊死し、前腕切断術が行われた。術後4日、Aさんは幻肢痛を訴えた。看護師の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
幻肢痛は切断後に発生する特異な痛みで、切断端への適切な圧迫が神経終末の刺激を調整し、痛みの軽減に有効であるとされています。弾性包帯による圧迫は、残存肢の浮腫軽減と形状を整える目的と、幻肢痛の軽減の両方に寄与します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。幻肢痛の予防や軽減には、切断端に適度な圧迫を加えることが有効です。弾性包帯による適切な圧迫は、神経刺激を調整し、感覚の統合を促すことで痛みを和らげることが期待できます。
- 2. 切断端のマッサージは、むくみの軽減や血行促進、組織の軟化には有効な場合がありますが、急性期の幻肢痛の直接的な軽減策としては弾性包帯による圧迫の方が優先されます。また、術直後や炎症がある場合は刺激を避ける必要があります。正しくは:幻肢痛に対する直接的な対応としては、弾性包帯による圧迫が優先されます。マッサージは瘢痕の軟化や血行促進に役立つことがありますが、幻肢痛の急性期対応としては不適切です。選びやすい理由:マッサージは一般的に痛みを和らげるイメージがあるため、選択肢として魅力的です。瘢痕のケアや残存肢の感覚を鈍らせる目的で行われることもありますが、幻肢痛の初期対応としては不適切です。混同注意:一般的な疼痛緩和ケアや、慢性期の瘢痕ケアとしてのマッサージと混同しやすいです。
- 3. 肘関節を長時間屈曲したままにすると、関節拘縮を引き起こすリスクがあります。術後の早期から可動域訓練を行い、関節の拘縮を予防することが重要です。正しくは:肘関節の拘縮予防のため、適切な関節可動域訓練を行い、安楽な肢位を保持します。選びやすい理由:安楽な体位や、切断端への刺激を避けるための一時的な姿勢として考えがちですが、長期間の固定は拘縮の原因となります。混同注意:安楽な肢位と、長期的な関節拘縮予防のための運動との区別ができていない場合に選びやすいです。
- 4. 幻肢痛には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は効果が低いとされますが、オピオイド系鎮痛薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などが有効な場合があります。鎮痛薬が無効であると説明するのは不適切です。正しくは:幻肢痛の治療には、医師の指示のもと、様々な種類の鎮痛薬(神経障害性疼痛に有効な薬剤など)が用いられることがあります。効果の有無は個人差があるため、まずは医師と相談し、適切な薬剤を検討することを説明します。選びやすい理由:一般的な痛みとは異なるため、通常の鎮痛薬が効きにくいというイメージから、全く効かないと誤解することがあります。混同注意:一般的な急性痛に対する鎮痛薬(NSAIDs)の効果と、神経障害性疼痛に対する特定の薬剤の効果を混同している可能性があります。
国試ポイント
幻肢痛に対する初期の看護介入として、残存肢の適切な管理(圧迫)が問われています。幻肢痛のメカニズムと、それに対する効果的な非薬物的介入に関する知識が求められます。
混同注意
幻肢痛と一般的な術後疼痛の区別、また幻肢痛への対応として行われるリハビリテーションや薬物療法の一部と混同しやすいです。特に、マッサージや関節可動域訓練は残存肢ケアの重要な要素ですが、幻肢痛の『直接的な軽減』を目的とした即効性のある対応としては圧迫が優先されます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、幻肢痛の非薬物的介入で最も優先されるもの、あるいは即効性のある対応は何かを問う問題に注目します。また、薬物療法の種類や、精神的なケアの重要性についても問われる可能性があります。
関連知識
幻肢痛は、切断された部位からの神経刺激が脳に伝わり続けることで生じると考えられています。ミラーセラピーや精神的なサポートも重要です。薬物療法としては、神経障害性疼痛治療薬(プレガバリン、ガバペンチンなど)、抗うつ薬、オピオイドなどが用いられます。残存肢の圧迫は、断端の浮腫軽減、円錐形の形成、幻肢痛の軽減の3つの目的があります。