Aさんは右側の人工股関節全置換術(後方アプローチ)を受けた。Aさんへの脱臼予防の生活指導で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
後方アプローチによる人工股関節置換術後には、股関節の過度な内転、内旋、屈曲の複合運動が脱臼の主要なリスク因子となります。身体を右側(手術側)にひねる動作は、手術側の股関節を内旋させやすく、脱臼のリスクを高めるため、避けるべき指導として適切です。他の選択肢は、いずれも股関節の過度な屈曲や内転、内旋を誘発する可能性があり、脱臼リスクを高める不適切な指導です。
選択肢ごとの解説
- 1. しゃがむ動作は股関節を深く屈曲させるため、後方アプローチによる人工股関節置換術後の脱臼リスクを高めます。脱臼予防のためには、深くしゃがむことは避けるべきです。正しくは:靴を履く際は、立ったままか、座って靴べらを使用するなど、股関節の過度な屈曲を避ける方法を指導する。選びやすい理由:一見、安定した姿勢のように思えるが、股関節の屈曲角度が問題となる。混同注意:深くしゃがむことと、軽く腰を落とすことの違いで混乱する可能性がある。
- 2. 正解。後方アプローチによる人工股関節置換術後には、股関節の過度な内転、内旋、屈曲の組み合わせが脱臼を誘発しやすいとされています。身体を右側(手術側)にひねる動作は、股関節の内旋と内転を伴いやすく、脱臼リスクを高めるため、避けるべき指導として適切です。正しくは:適切である。選びやすい理由:「ひねる」動作の具体性が分かりにくいと感じるかもしれない。混同注意:股関節の動きと体幹の動きの関連性で迷う可能性がある。
- 3. 足を組む動作は、手術側の股関節を内転、内旋、および屈曲させる可能性があり、後方アプローチの人工股関節置換術後の脱臼リスクを高めます。特に手術側の足を上にして組むことは避けるべきです。正しくは:椅子に座る際は、足を組まず、両足を揃えて座るように指導する。また、膝が股関節よりも低い位置になるような座り方が望ましい。選びやすい理由:足を組むことが日常生活でよくある動作であるため、深く考えずに選んでしまう可能性がある。混同注意:どちらの足を組むかによってリスクが異なるため、その違いで混乱するかもしれない。
- 4. 浴室の椅子が膝の高さより低いと、座った際に股関節が深く屈曲してしまい、後方アプローチによる人工股関節置換術後の脱臼リスクが高まります。脱臼予防のためには、膝より高い位置に座ることで股関節の屈曲を制限することが重要です。正しくは:浴室の椅子は、膝の高さと同等か、それよりも高いものを使用するように指導する。選びやすい理由:低い椅子の方が安定する、転倒しにくいといった誤解から選んでしまう可能性がある。混同注意:低い方が安全という一般的なイメージと、股関節の角度制限の重要性との間で混乱する可能性がある。
国試ポイント
人工股関節全置換術後の脱臼予防に関する生活指導の知識、特にアプローチ方法(後方、前方)による制限の違いを理解しているかが問われる。後方アプローチでは、股関節の屈曲、内転、内旋の制限が重要となる。
混同注意
前方アプローチの場合と後方アプローチの場合で、禁忌肢位が異なる点を混同しやすい。前方アプローチでは股関節の伸展、外転、外旋を制限することが一般的である。
次に同じ論点が出たら
患者の生活習慣や住環境に合わせて、具体的な動作の指導や自助具の活用方法を提案できるか。
関連知識
人工股関節置換術の種類(セメント使用・不使用)、リハビリテーションの段階、術後合併症(感染、深部静脈血栓症、脚長差など)、退院指導の内容(自動車運転、階段昇降、転倒予防)。