成人患者の甲状腺全摘出術後における合併症とその症状との組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
甲状腺全摘出術後、副甲状腺の機能が低下または消失することで、血中カルシウム濃度が低下し、低カルシウム血症が発生する可能性があります。低カルシウム血症の典型的な症状の一つが、筋肉の異常な興奮によって引き起こされるテタニー(手足のしびれ、筋肉の攣縮、けいれん)です。したがって、この組み合わせは正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 乳び漏は胸管損傷によって生じる合併症であり、嘔気とは直接関連しません。乳び漏の症状としては、胸腔内への乳び貯留による呼吸困難などが挙げられます。正しくは:乳び漏と嘔気の組み合わせは誤りです。乳び漏の症状は胸水貯留による呼吸困難などです。選びやすい理由:術後合併症の一つではあるものの、症状との関連が誤っている点に注意が必要です。混同注意:乳び漏は稀な合併症ですが、その症状は嘔気ではありません。
- 2. 術後出血では、ドレーン排液は血液の色(赤色など)を呈し、白濁することはありません。ドレーン排液が白濁する場合は、乳び漏の可能性が考えられます。正しくは:術後出血ではドレーン排液は赤色を呈し、白濁はしません。白濁は乳び漏でみられます。選びやすい理由:ドレーン排液の性状変化は重要な観察項目ですが、白濁と術後出血の関連は誤りです。混同注意:術後出血は一般的な合併症ですが、排液の色と結びつけ方が間違っています。白濁は乳び漏の兆候です。
- 3. 反回神経麻痺は声帯運動を司る神経の損傷であり、嗄声(声のかすれ)や呼吸困難が主な症状です。口唇のしびれは、低カルシウム血症の症状の一つです。正しくは:反回神経麻痺の症状は嗄声や呼吸困難であり、口唇のしびれではありません。口唇のしびれは低カルシウム血症の症状です。選びやすい理由:反回神経麻痺は甲状腺手術の重要な合併症であり、口唇のしびれも術後によくみられる症状ですが、それぞれの原因が異なります。混同注意:反回神経麻痺と低カルシウム血症の症状が混同されやすい点です。それぞれの症状を正確に理解する必要があります。
- 4. 正解。甲状腺全摘出術では、隣接する副甲状腺も一緒に摘出されたり、血流障害を起こしたりすることがあり、これにより副甲状腺ホルモンの分泌が低下し、低カルシウム血症が生じます。低カルシウム血症の主な症状の一つに、手足のしびれや筋肉のけいれん(テタニー)があります。口唇周囲のしびれも初期症状としてよく見られます。
国試ポイント
甲状腺手術後の合併症とその典型的な症状を正確に結びつける知識が問われています。特に副甲状腺機能低下による低カルシウム血症と、反回神経麻痺の症状は重要です。
混同注意
反回神経麻痺と低カルシウム血症の症状(特に口唇のしびれなど感覚異常)は混同しやすいので注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
甲状腺手術後の患者に対して、低カルシウム血症の初期症状を早期に発見し、適切な対応(カルシウム製剤の投与、医師への報告)ができるか。
関連知識
副甲状腺の解剖学的知識、副甲状腺ホルモン(PTH)の生理作用、カルシウム代謝の調節、低カルシウム血症の診断と治療、甲状腺手術後の看護介入(症状観察、血清カルシウム値モニタリング、カルシウム補充など)。